暮らしと地域社会支えるバス路線維持へ 釜石市が第3期地域公共交通計画案に意見募集

釜石市は2026年度から5年間の第3期市地域公共交通計画の策定に向け、同計画案に対する市民の意見を3月2日まで募集している。同市では持続可能な公共交通維持のため、2019年から市内路線バスの幹線部を岩手県交通、支線部を市の委託事業者が運行する体制をとるが、支線部の利用者数は減少傾向が続く。同計画では、高齢者や子どもなど移動手段を持たない市民の暮らし、地域社会を支える基盤として、将来にわたって利用され続ける公共交通体系の再構築を図る。寄せられた意見を踏まえ、3月中の計画策定を目指す。
現在、市が委託運行する支線部バスは、マイクロバスによる北部(青ノ木・中村方面)と南部(大石・荒川方面)のコミュニティバス、ハイエースによる箱崎白浜方面と尾崎白浜方面のにこにこバスの計4路線。1月23日に開かれた市地域公共交通活性化協議会(委員32人、会長:平松福壽副市長)で示された直近1年間(2024年10月~25年9月)の事業評価によると、目標利用者数に対する実績で達成率80%を超えたのは、にこにこバス(尾崎白浜方面)の88.7%のみ(B評価)。他3路線は80%未満(C評価)で、定額運賃のサブスク実証実験を行った南部コミュニティバスでも利用者拡大には至らなかった。要因として、実施事業がニーズにマッチしていないことが考えられ、ニーズの分析・掘り起こし、ダイヤ改正など利用促進への施策が必要とする。

支線部を運行するコミュニティバス(上)とにこにこバス(下)=資料写真
地域公共交通の利用者減少は人口減少の影響で一層顕著となっている。特に北部コミュニティバスの利用者は過去5年間で約半数近くにまで減少。長期化する物価高騰や人件費上昇などもあり、厳しい収支状況が続く。それでも市民生活の基盤となる公共交通の維持・確保は不可欠で、限られた交通資源を効率的かつ効果的に活用し、利便性と生産性を高めることが求められる。
市は第3期計画の基本理念に「未来へ続く、暮らしとコミュニティを支える地域公共交通の実現」を掲げる。買い物や通院、通学・通勤といった日常の移動手段確保のほか、地域イベントへの参加や交流機会につながる公共交通環境を整えたい考え。基本目標として▽持続可能な公共交通ネットワークの維持・強化▽地域のニーズに応じた多様な移動手段の確保▽公共交通利用促進と市民意識の醸成―を定める。外出環境の満足度、市民1人当たりの乗り合いバス年間利用回数など各指標で、2030年度までの目標値を設定する。

「第3期釜石市地域公共交通計画(案)」などを協議した2025年度第3回釜石市地域公共交通活性化協議会=1月23日
計画には具体的な取り組みとして13項目を示す。収益率が低い支線部バスは一体的に見直しを行い、利用の少ない区間は予約型乗り合いタクシーなどへ段階的に切り替える。学校統合に合わせた支線部バスへの児童生徒の乗り合い化など、通学時の路線バス活用を検討。高齢者の移動手段確保、閉じこもり予防などのため、バス・タクシー共通利用券の交付、予約型乗り合いタクシーの運行を検討し、運転免許返納による交通事故抑止に寄与する。市街地から遠く、交通事業者による運行が困難なエリアでは、「交通空白地自家用有償運送制度」を活用した運行も検討。ドライバーを募り、運行・車両管理をタクシー事業者が担うことで、効率性や安全性を確保する。この他、鉄道事業者との連携、多様な媒体を活用した情報発信で地域公共交通の利用促進を図ることも盛り込む。
計画案は市ホームページのほか、市市民課、各地区生活応援センターなどで閲覧できる。意見は文書にし、持参、郵送、ファックス、メールなどで提出を。

1月の同協議会では他に、世界遺産「橋野鉄鉱山」への観光客の移動手段確保のため、新たに「事業者協力型自家用有償運送」の導入が提案され、承認された。
同有償運送は、自家用車を使って旅客から対価を受けて行う移動支援制度のうち、地元タクシー事業者などが運行管理に協力するもの。今回の事業では運営主体(ドライバー)が釜石観光物産協会、釜石観光ガイド会。交通空白地有償運送等運転者講習を受講した人が運行する。運行・車両整備管理で協力するのは市内のタクシー事業者スクー。
運行は原則、橋野鉄鉱山インフォメーションセンターの営業時間内(の発着)。釜石駅や鵜住居駅、市内宿泊施設などから客を乗せ、同鉄鉱山(橋野町青ノ木地区)に向かう。鵜住居町寺前交差点~青ノ木間の観光地や店舗などへの立ち寄りも可能。モデルコースを設定し、客に選択してもらう。タクシーよりも割安で利用でき、道中、ガイドの話も聞ける。

「事業者協力型自家用有償運送」導入についても協議。事業者協力型は東北初
鉄路などで釜石を訪れた観光客が同鉄鉱山に行くには現状、タクシーやレンタカーしかない。本年度は釜石観光物産協会と県タクシー協会釜石支部が連携し、土日祝日限定で、釜石駅からの相乗りタクシー3時間プランを実施したが、利用は少なかった。新たな制度の導入で、客の選択肢が増え、利便性向上につながるものと期待される。事業は2026年度からスタートする予定。

釜石新聞NewS
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