釜石新聞News 2025年プレーバック<その1>


2025/12/25
釜石新聞NewS #地域

 2025年は戦後80年を迎え、多くの人が平和の尊さを見つめ直す年となった。全国同様、クマの出没や山火事、津波の脅威に脅かされ、防災への意識が改めて問われた。一方で「橋野鉄鉱山」の世界遺産登録10周年など明るい話題もあった。この1年を象徴する出来事を写真で振り返る。

戦後80年・世代超え伝い続ける

 
 太平洋戦争末期の1945年の7月と8月、釜石市は2度にわたり米英連合軍などの艦隊から艦砲射撃を受けた。終戦から80年の節目の今年、「釜石艦砲」の体験者から話を聞く機会が幾度もあった。一方で、戦禍を知る人たちは高齢となり、年々、体験談を聞くのは難しくなっている。そんな中、戦争の記憶をつなごうと、高校生がまちに残る戦跡を巡るツアーを企画し、小学生は永遠の平和を祈念し建立された女神像の塗り替え作業に協力。若い世代に「地域の歴史を伝え継ぐ」という気持ちが芽吹く。
 
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釜石小児童が参加し塗り直し作業が行われた薬師公園の「平和女神像」=4月28日

 
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防空壕跡を案内する高校生佐藤凛汰朗さん(左)と中澤大河さん=7月21日

 
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体験者や高校生らによる討論会。戦争の悲惨さを共有し、平和を誓った=8月3日

 

明治日本の産業革命遺産 世界遺産登録10周年

 
 釜石市の「橋野鉄鉱山」を含む明治日本の産業革命遺産(8県11市23資産)は、世界文化遺産登録から10周年を迎えた。市内では登録が決まった7月を中心に各種記念行事が開催された。釜石での鉄づくりの成功は日本の近代化を急速に推し進める原動力となった。今年は“近代製鉄発祥の地”釜石の誇りを再認識し、橋野鉄鉱山の世界遺産価値を改めて感じる年となった。
 
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世界遺産登録10周年記念シンポジウムでは歴史作家の河合敦さんが講演した=7月12日

 
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現地の記念イベント「橋野鉄鉱山マルシェ」では地元の橋野鹿踊りが10周年をお祝い=7月13日

 
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23構成資産のガイドが初めて釜石で研修。釜石観光ガイド会が橋野鉄鉱山を案内した=10月23日

 

大船渡市山林火災後方支援

 
 2月下旬に発生した大船渡市の山林火災は平成以降、国内最大規模の被害となり、全国から駆け付けた緊急消防援助隊が連日、消火活動にあたった。釜石市は新潟、茨城、栃木3県の消防隊の宿営地として、鵜住居町の市民体育館を提供。24時間体制で火災現場に向かう隊員らを支えた。避難所運営の応援として市職員も派遣。市民らも義援金募金活動などを行い、被災者に心を寄せた。
 
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約500人の隊員が体育館で寝泊まりしながら交代で現場に出動した=3月3日

 
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釜石中の生徒が感謝を込めて寄せ書きした横断幕。緊急消防援助隊に贈った=3月7日

 
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「困っている人の力に」。市内の児童生徒が募金活動を展開し、思いを託す=5月21日

 

クマ出没続く…市初の緊急銃猟も

 
 岩手県内全域に「ツキノワグマの出没に関する警報」が発表される中、釜石市内でも出没の目撃情報は寄せられ、農作物や人身への被害が懸念されるため注意が必要だ。今年9月に鳥獣保護法が改正され、人の生活圏にクマなどが出没した場合、市町村判断での発砲を可能とする「緊急銃猟」の制度が始まった。11月26日には市街地に長時間居座ったクマ1頭を「緊急銃猟」で駆除した。市内では初めての実施で、県内では2例目となった。
 
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釜石市中心部に出没したクマ。警戒する警察官とのにらみ合いが長時間続き、緊急銃猟で駆除された=11月26日

 

津波警報、初の後発地震注意情報「備えを」

 
 今年、本県沿岸には津波注意報や警報の発表が相次いだ。7月にはロシア・カムチャツカ半島東方沖を震源とする巨大地震で日本の太平洋沿岸などに津波警報、注意報が発表された。避難所が開設された鵜住居小・釜石東中では、今年1月に自主防災組織を立ち上げた釜石東中の生徒らが避難所運営で大きな力を発揮した。12月8日深夜に発生した青森県東方沖を震源とする地震では釜石市で震度4を観測。津波警報が発表された。気象庁などはその後1週間、初の「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表し、日頃の備えの再確認を呼びかけた。
 
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カムチャツカ半島地震による津波警報発表で避難所が開設された釜石東中では、夏休み中の部活動で登校していた生徒らが避難所運営に尽力した=7月30日午前

 
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青森県東方沖地震による津波警報発表で避難所が開設された鵜住居小・釜石東中体育館には多くの地元住民が避難した=12月9日未明

 
■後記
 釜石新聞NewSをご覧いただいている皆様、ご愛読ありがとうございます。今年のまちの話題を振り返り、印象深かったものはありましたか?明日は「その2」として、釜石の2025年をさまざまな視点で振り返ります。

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復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。

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