釜石・鵜住居幼稚園 元気に餅つき「楽しい思い出を」 26年度から募集停止・休園


2025/09/30
釜石新聞NewS #文化・教育

餅つきで交流する鵜住居幼稚園の園児と釜石東中の生徒ら

餅つきで交流する鵜住居幼稚園の園児と釜石東中の生徒ら

 
 すてきな思い出をみんなでつくろう―。釜石市立鵜住居幼稚園(同市鵜住居町、磯田育子園長)で17日、子どもたちが楽しみにしている園行事の餅つき会があった。隔年で実施しているため、本来は来年秋まで待たねばならないが、来春から休園することが決まっており前倒し。ちょうど保育体験に来ていた中学生の力も借りて餅をつき、おいしく味わった。
 
 「エイヤー」「ヘイ!ヘイ!」「ぺった~ん」。園児4人の元気な“合いの手”が園舎に響いた。「いっぱい遊んで、たくさんの思い出を」。楽しげな園児を見守る磯田園長ら職員、保護者たちの表情もどんどん柔らかくなった。
 
元気なかけ声で餅つきを応援する園児たち

元気なかけ声で餅つきを応援する園児たち

 
中学生が餅をつく様子を園児はわくわくしながら見つめた

中学生が餅をつく様子を園児はわくわくしながら見つめた

 
 餅つきに協力する陸中海岸青少年の家(山田町)が用意した、もち米2升をふかして準備。園隣接地にある釜石東中(高橋晃一校長)の3年生7人が家庭科の授業(保育単元)の一環で来園し、餅つきのキャリアが豊富な大人と力を合わせて、ある程度ついたあとで、園児にバトンタッチした。
 
 「よいっしょー」。小型のきねを持った園児は、中学生の手助けのもとで振り下ろし、餅つきを楽しんだ。つきたての餅はあんこやクルミ、きな粉などを付けて頬張った。
 
園児は中学生や大人たちの力を借りて餅つきに挑戦した

園児は中学生や大人たちの力を借りて餅つきに挑戦した

 
かけ声、力を合わせて餅をつき上げて満足げな参加者

かけ声、力を合わせて餅をつき上げて満足げな参加者

 
園児が餅を食べやすいよう手助けしたり頬張る笑顔を見つめたり

園児が餅を食べやすいよう手助けしたり頬張る笑顔を見つめたり

 
 運動会を控えた園児たちが「いっしょにれんしゅうしてくれますか」と中学生に尋ねると、生徒は「いいですよ」と返答。綱引きと玉入れで勝負し、触れ合いも楽しんだ。生徒たちはハンドベルの演奏も披露。園児は手拍子でもり立てた。
 
運動会の練習で交流。中学生はハンドベルの演奏も披露した

運動会の練習で交流。中学生はハンドベルの演奏も披露した

 
 お兄さん、お姉さんたちとの交流にはしゃぐ佐々木陽丸ちゃん(5)と小笠原涼真ちゃん(6)は「うれしい。おもしろかった」と声をそろえた。2人とも来年は小学生に。「こうていでいっぱいはしる。サッカーしたい」「せ、のびたいから、グーグーねる」と期待を膨らませていた。
 
楽しい時間を過ごし笑顔を見せる園児、中学生ら

楽しい時間を過ごし笑顔を見せる園児、中学生ら

 
 1979年創立の同園は、市立幼稚園として長年、幼児教育の役割を担ってきた。2011年の東日本大震災で全壊。他地区にあった市立幼稚園での合同保育や仮設園舎での生活を経て、17年に鵜住居小や釜石東中とともに一体で整備された現在の場所で運営する。
 
 近年は少子化の影響で園児数が減少しており、現在は3歳児2人、5歳児2人が利用する。26年度の入園見込みは2人。入園希望の対象となる子どもが「そもそもいない。入園の見込みがない」(磯田園長)といい、保護者の就労状況やニーズの変化などが背景として考えられる。
 
 市教委は、集団生活が子どもの成長に与える影響を考慮。適度な集団の中での規範意識や共同性の育成が難しく、「幼稚園としての十分な教育環境の確保が見込めない」とし、26年度の園児募集を停止して26年3月をもって休園することとした。
 
 餅つき、運動会の練習という園行事を通じた体験活動に懐かしさを感じていたのは、同園を卒園した釜石東中の松下大和さん。「人数が多かった」と仮設園舎での生活を思い出しつつ、休園の話を聞いて残念がる。「人数が少なくなっているが、きょうの交流でしっかり楽しみ合えたと思う。(園児が)けがをせず遊べるよう気を配ったし、話し方も自然にゆっくりになっていた」と笑った。
 
 磯田園長は「少人数の教育環境には良さもあるが、課題もある。だけど、多い少ないにかかわらず保育を続けるだけ。普段の生活の中で、さまざま力が育まれるのだから」と話す。遠足や作品展、季節感を味わう各種行事は変わらず行っており、その際に駆け付ける保護者たちの存在に「助けられている」と感謝する。
 
園行事の運営に協力する保護者。餅つき会でも力を発揮

園行事の運営に協力する保護者。餅つき会でも力を発揮

 
体験活動を楽しむ園児をうれしそうに見守る磯田育子園長

体験活動を楽しむ園児をうれしそうに見守る磯田育子園長

 
 笑顔の子どもたちを見つめ、「のびのびと過ごしてほしい」と磯田園長。周囲のあたたかい思いを重ね合わせた運営を続ける。

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