多様な人たちで作る住みよいまちの実現へ 32回目の「ふれあい福祉まつり」 約1100人が交流


2025/09/11
釜石新聞NewS #福祉

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大勢の来場者でにぎわった釜石市ふれあい福祉まつり=6日、TETTO

 
 第32回釜石市ふれあい福祉まつりは6日、同市大町の市民ホールTETTOで開かれた。市、釜石広域基幹相談支援センター、市社会福祉協議会が共催。物品販売や作品展示、ダンスや楽器演奏のステージなど多彩な内容で来場者を迎えた。障害の有無や国籍、年齢などに関わらず多様な人たちが集い、互いを理解し、共に生きる地域社会の実現を目指し、続けられる同まつり。今年は参加団体と来場者合わせ、約1100人が交流の輪を広げた。
 
 物品販売には、障害者の生活、就労支援を行う釜石大槌の事業所を中心に11団体が出店した。利用者が作った手芸品や雑貨、パンや菓子などさまざまな商品が並び、来場者が出店者と交流しながら買い物を楽しんだ。能登半島地震の被災地支援として、石川県七尾市の多機能型事業所「みのり園」のポン菓子や菊芋茶を販売するコーナーもあった。
 
地域活動支援センターふるはーと(野田町)はカラフルなリースやクラフトバッグ、コースターなどを販売

地域活動支援センターふるはーと(野田町)はカラフルなリースやクラフトバッグ、コースターなどを販売

 
能登半島地震の復興応援販売コーナー。石川県七尾市の事業所が作る菓子などを販売した

能登半島地震の復興応援販売コーナー。石川県七尾市の事業所が作る菓子などを販売した

 
 同まつりに初めて参加した紫波町の一般社団法人いわてこどもホスピス(工藤美穂代表理事)は、小児がん、心疾患など生命に関わる病気や重度障害のある子どもとその家族を支援する目的で、昨年から活動を開始。医療関係者の協力で外食やイベント参加を可能にするなど、当事者家族の「やってみたい」をかなえる場を提供する。最大の目標は付き添い家族が安心して過ごしたり、病院や自宅ではできないことを体験できる「ファミリーハウス(こどもホスピス)」を建設すること。
 
一般社団法人いわてこどもホスピスの「アップルジューススタンド」。活動を知ってもらい、支援への協力を呼びかけた

一般社団法人いわてこどもホスピスの「アップルジューススタンド」。活動を知ってもらい、支援への協力を呼びかけた

 
 会場では、その取り組み周知と支援の呼びかけ活動として、県内各地で展開する“アップルジュース募金”を実施した。2022年に重度心疾患で当時4歳だった息子を亡くした工藤代表理事(51)は「難しい病気を抱える子どもたちが存分に生きて輝ける時間を作りたい。こどもホスピスは全国でも2カ所しかなく、寄付で成り立っているのが実情。支援の輪を広げながら、当事者家族が一歩外に出て周りとのつながりを得られる場を提供できたら」と願う。
 
 作品展示会では釜石祥雲支援学校(平田町)、市すくすく親子教室(上中島町)など4団体1個人が多彩な作品を公開した。遊び場ブースではパラリンピック種目で注目を集める「ボッチャ」や、スポーツレクリエーションの「ラダーゲッター」を楽しむ姿が見られた。初参加の釜石建設組合は木工作品や風車の製作体験教室を開き、来場者から好評だった。各種福祉活動の紹介では、市内で活動する11団体がパネル展示を行ったほか、困りごとの相談にも応じた。
 
作品展示(上)や福祉関係団体の活動紹介、情報提供コーナー(下)も

作品展示(上)や福祉関係団体の活動紹介、情報提供コーナー(下)も

 
ボッチャを楽しむ子ども(左)。釜石建設組合の木工体験も人気(右)

ボッチャを楽しむ子ども(左)。釜石建設組合の木工体験も人気(右)

 
 TETTO前広場で行われたステージ発表には8団体が出演。かまいしこども園の虎舞、正福寺幼稚園の鼓隊と続き、フラダンスやバンド演奏、手話歌などが披露された。日本赤十字社の献血バスは、まつり初お目見え。呼びかけに応えた人たちが全血献血に協力した。
 
オープニングを飾った「かまいしこども園の虎舞」

オープニングを飾った「かまいしこども園の虎舞」

 
さまざまなジャンルの発表が来場者を楽しませた。会場では手話通訳も(右上)。まつりでの献血活動は初(右下)

さまざまなジャンルの発表が来場者を楽しませた。会場では手話通訳も(右上)。まつりでの献血活動は初(右下)

 
「ブラック★かまリンズ」のバンド演奏も手話を交えて…

「ブラック★かまリンズ」のバンド演奏も手話を交えて…

 
 毎年楽しみに足を運ぶという松原町の女性(65)は昨年、出店者に注文して作ってもらったクラフトバッグを提げて来場。「障害者の方々の素晴らしい作品、頑張っている姿に刺激を受け、自分も何かやらなきゃと元気づけられている」と話す。同まつりの大きな意義を感じ、「障害者が親を亡くした後も自立して生きていくためには周囲の支えが必要。地域の人たちと互いの存在を理解し合い、共に暮らしていける社会を実現するためにも、こういう交流の場をどんどん増やしてほしい」と願った。
 
 まつりと同時開催の2イベントも盛況だった。釜石PITで開かれたのはユニバーサルシネマ。障害児支援を行う認定NPO法人プラス・ワン・ハピネスが、医療機器の音や光、発声、立ち上がりなどを気にせず、誰でも映画を楽しんでもらおうと初めて企画した。沿岸各地から当事者家族など48人が申し込み、人気アニメ作品を観賞した。
 
映画上映の前には「さくらんぼの会」(釜石市)が大型紙芝居を上演=釜石PIT

映画上映の前には「さくらんぼの会」(釜石市)が大型紙芝居を上演=釜石PIT

 
初開催のユニバーサルシネマ。客席は暗くせず、緊急時の対応もしやすく…

初開催のユニバーサルシネマ。客席は暗くせず、緊急時の対応もしやすく…

 
 TETTO前広場では、釜石まちづくり会社が第9回かまいし百円市を開催。市内外から8者が出店し、日用雑貨、古本、古着、手作り小物などを販売した。商品は全て100円とあって、開店と同時に大勢の買い物客でにぎわった。
 
おなじみとなった「かまいし百円市」。福祉まつりと同時開催で集客力アップ

おなじみとなった「かまいし百円市」。福祉まつりと同時開催で集客力アップ

 
 同まつり事務局を務める市社協地域福祉課コミュニティ推進係の小原裕也主任は「多様な団体に参加していただき、ネットワークの広がりが見られる。それに伴い、来場者数も増加傾向にある」と実感。イベントを楽しみながら、「地域はいろいろな人で成り立っていることを理解し、福祉事業者やボランティア団体の活動にも、ぜひ目を向けてもらえたら」と話した。

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