釜石の郷土芸能・小川しし踊り 保存会、いわてユネスコ教育賞 小学校での伝承活動を評価
小野共市長(中)に受賞を報告した小川しし踊り保存会メンバー
釜石市の小川しし踊り保存会(佐々木義一会長)はこのほど、岩手県ユネスコ連絡協議会(三田地宣子会長)が主催する第29回いわてユネスコ賞の教育賞を受賞した。同保存会が長年続けている子どもたちへの伝承指導が評価されたもの。2月26日、佐々木会長と顧問の佐々木佳津子さんが小野共市長に喜びを報告し、活動継続への深まる気持ちを伝えた。
いわてユネスコ賞は文化や教育分野などで模範的な活動を行っている児童生徒、教育関係者らをたたえるもの。県内各地の学校やユネスコ協会などから推薦があったものを同協議会で選考。本年度は科学、文化、活動奨励、教育の4分野で合わせて10団体の受賞を決めた。昨年10月に発表し、それぞれ賞状などが伝達された。
同保存会が伝承する「小川しし踊り」(釜石市指定無形民俗文化財)は、遠野郷上郷村火尻(森の下)集落に伝えられている鹿踊が起源とされる。明治15~16年ごろ、小川地区から派遣された3人の若者が習得、持ち帰ったものを地域ぐるみで守ってきた。優雅な群舞であり、時に野に遊ぶシカたちの姿を表し軽快に舞うのが特徴。小川地区にある千晩神社の例大祭で奉納したり、釜石まつりでは釜石製鉄所山神社のみこしに付き従い、舞を披露している。
小川しし踊りや保存会の活動に関する資料
会の発足は1955(昭和30)年。郷土芸能の後継者育成を目的に、70年代後半から旧小川小で伝承指導活動を始めた。2005年に小佐野小と統合。その時に小佐野小では、小川小の伝統を引き継ごうと伝承活動委員会、特設クラブを設け、学習発表会や地域の交流イベントで演舞を披露してきた。現在、委員会などはなくなったが、授業に取り入れ高学年が継承。17年から運動会のプログラムとしても組み込まれている。こうした50年近く続く取り組みが認められ、児童生徒が行う活動の指導者らが対象の教育賞に選ばれた。
この日、市役所を訪れた佐々木会長は「(受賞は)驚いたが、うれしい。次の世代に引き継ぐのが役目で、今の形を続けていきたい。郷土芸能に触れることは社会勉強にもなり、いい機会だと思う。子どもたちは指導する大人を見ていて、懸命に教えれば応えてくれる。しっかりしようと気も引き締まる。しし(踊り)は本当にいい」と笑顔を見せた。
受賞の喜びを報告する佐々木義一会長(左)と佐々木佳津子さん
市長らにユネスコ教育賞の賞状や盾を披露した
小野市長は「伝承活動を通じて子どもたちが地域を知る貴重な機会になっていると感じる。郷土愛、地域への愛着を生む取り組みを続けてほしい」と期待した。
報告を終えた佐々木会長は小佐野小へ。卒業する6年生に代わり、新たに受け継ぐ4、5年生に改めてしし踊りの歴史や保存会の活動を紹介、演舞の指導も行った。
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