広がれ!防災の輪 釜石市民×外国人住民 災害の備え かるた、クイズで楽しく学ぶ
防災かるたを使って災害発生時の適切な行動を学ぶ参加者
災害時に役立つ防災知識を釜石市在住の外国人に知ってもらう催しが26日、同市鈴子町の市国際外語大学校で開かれた。「難しい」と思われがちな防災用語を、分かりやすく伝えるアイテムとして用意されたのは「かるた」。簡単な日本語とそれに合うイラストが入った札に手を伸ばし、楽しみながら防災意識を高めた。
地域住民との交流促進を目指して実施している「釜石グローバルラウンジ」(市、市国際交流協会主催)の一環。技能実習や特定技能の在留資格を持ち、市内で働くベトナムやインドネシアなどの出身者、同校で学ぶネパール人留学生ら約40人に加え、同協会員や国際交流に関心のある中高生なども参加した。
外国人、日本人が輪になって勝負。参加者の多くは絵札に入った頭文字の平仮名を理解しているようで、目当ての札を見つけると素早く手を出した。札をのぞき込む表情は真剣だったが、手が重なり合ったり、お手付きしたりすると、笑顔に一変。地域住民が本領を発揮し、「バンッ」と大きな音を出しながら札を取ると、実習生らは驚きつつも、「お~」と感動の声を上げたりした。
釜石で暮らす人たちが輪になって「防災かるた」に挑戦
「気を付けよう 地震は一回じゃ 終わらない」「戻らない 走って逃げよう 高いところへ」「明日かも 災害はいつ起きるか わかりません」「普段から(いつも)調べておこう 避難場所」。かるたの読み札は、同校外語観光学科の学生が既製の「防災かるた」を参考に、「やさしい日本語、想像しやすい言葉」を選んで作製。短い言葉をつなげるといった工夫も加えた。
簡単な日本語をつないで作られた読み札
読み手の声に聞き耳を立て、構える参加者
市国際交流課の職員による講話もあり、災害の種類や災害時に使われる日本語、避難場所と避難所の違いなどを確認。「家や、おみせにいます。地震がおきました。すぐ、外ににげますか?」といった問いかけ、クイズを通して普段から地域の人と関わりを持つことや、避難訓練に参加しておくことなど備えの大切さも学んだ。
防災用語などを解説する市職員の話を熱心に聞く参加者
話し合いをしながら防災に関するクイズにも挑戦した
初めてのかるたで15枚の札を取ったネパール出身の学生パビトラ ネウパネさん(20)は日本の正月遊びを楽しみながら、災害発生時の行動を記憶。「揺れたとき 机やイスの下に はいりましょう」との読み札の言葉を頭に浮かべた。
フィリピン出身のエルマー ダイダイさん(29)は「初めての経験だったが、説明してもらって少しわかった。いろんな人と会って話すことができたのも良かった」とうなずいた。「溶接」の特定技能を有し即戦力として造船会社で働いていて、日本での生活は5年になる。「日本語をしゃべれるし、平仮名、カタカナは分かるけど、漢字は難しい」と肩をすくめる。あと数年在留でき、釜石で仕事を継続する予定。「防災無線をしっかり聞くようにしたい」と、情報収集の必要性に認識を深めた。
防災を通じて交流を深めた外国人と地域住民
同課によると、現在釜石で暮らす外国人は約450人で、増加傾向にある。半数はベトナム人で、水産加工や機器製造に携わる技能実習生が多い。近年、大規模な地震や台風などの自然災害が頻発していることから、被災経験の少ない外国人にも防災に関する知識を学んでもらおうと企画。「災害はいつ起きるか分からない。準備が大切」と繰り返し強調し、今後もこうした取り組みを続けたい考えだ。
釜石新聞NewS
復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム