田んぼは学びがいっぱい! 白山小 伝統の米作り体験スタート 泥まみれの田植えに歓声
田植え作業に汗を流した白山小の児童=24日、上小川
釜石市の白山小(鈴木慎校長、児童31人)伝統の稲作学習が今年も始まった。24日、3~6年生22人が田植えに挑戦。泥まみれになりながら、昔ながらの手植えで稲苗を植えた。今後、稲の生長観察、稲刈りなどを行い、秋以降、農作物の恵みに感謝する収穫祭も予定する。
同校の同学習は今年で44年目。長年、学校敷地内に設けた“白山水田”で一連の作業を体験してきたが、昨年から、苗の提供を続けてきた甲子町上小川の農業藤井茂さん(84)の水田に場所を移し、学習を継続している。
バスで現地を訪れた児童らは、藤井さんと学習をサポートしてくれる大船渡農業改良普及センターの菊池浩之主任農業普及員、八重樫聡太技師にあいさつ。苗の植え方を教わった後、泥田に足を踏み入れた。約4アールの田んぼに植えるのはもち米種「ヒメノモチ」の苗。藤井さんが付けてくれたます目の線に沿って、両端から植え付けていった。
恐る恐る田んぼに足を踏み入れる。何とも言えない泥の感触にこの表情
田んぼの所有者藤井茂さん(右)から植え方を教わる
苗がしっかり立つように植える。腰をかがめての作業はけっこうな重労働
泥に足を取られたり、中腰の姿勢に苦戦したりしながらも懸命に作業。苗が倒れないようにしっかり植えた。田んぼの中にはカエルやイモリの姿も。周辺にはトンボも飛んでいて、水辺の生き物との出会いも楽しんだ。藤井さんの田んぼは日向ダムの下流域にあり、周りには樹木が生い茂る。児童らは緑豊かな自然空間の中で、さまざまな学びや気付きを得た。
写真左:「うっ!足が抜けない」 同右:「泥まみれも楽しー!」
田んぼではイモリやトンボなど水辺に集う生き物の姿も見られた
写真左:奥に日向ダムの堤体も見える 同右:2方向から苗植え。慣れてくるとスピードもアップ
初めて田植えを体験した金野瑛飛君(3年)は「カエルや虫もいっぱいいた。苗をちぎって植えるのが楽しい」と笑顔。2年目の川﨑仁遥君(4年)は「なかなか経験できないことが毎年できてうれしい」と喜び、「農家さんは大変な仕事だけど、(みんなに食べてもらい)幸せに暮らせているんだと分かった。ご飯を食べる時は感謝しながらおいしく食べたい」と話した。
児童会長の岡本羚依さん(6年)は「みんなで協力しながらやれている。一連の作業の中でも田植えは大事。まずは最初のところをしっかりやりたい」と意気込む。この学習を通して農業にも関心が高まった様子。「農家さんが減ると(私たちが)食べるものも減ってしまう。農業をやる人が減っていると聞くので、将来、何らかの形で力になれたらいいな」と思いを巡らせた。
山の新緑に青空…目にも鮮やかな景色も思い出に
「苗、行くよーっ」。あぜ道などから追加の苗を放ってもらう児童。一発キャッチは難しい!?
たくさんの笑顔が広がった田植え。収穫の秋を楽しみに…
児童に声を掛けながら作業の様子を見守った鈴木校長は「普段食べている米やお手伝いしてくれる地域の方々への感謝の気持ちが生まれれば。泥の温かさを肌で直接感じたり、生き物に触れ合ったりするのも貴重な経験。心の豊かさを育む活動になれば」と期待。同校と40年来の付き合いとなる藤井さんは、子どもたちが生き生きと作業する姿に「こっちも若返るよう。この中から農業を継ぐ人が一人でも多く出てくれれば」と願った。
同学習では収穫したもち米で餅つきをしてきたが、今年は藤井さんが育てたうるち米の提供を受け、米の炊き方などを学ぶ調理実習と試食を計画する。
釜石新聞NewS
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