鵜住居川漁協 アユの稚魚放流 価格上昇も例年並みの量を維持 解禁日は7月7日
鵜住居川漁協によるアユの稚魚の放流=12日
釜石市の鵜住居川漁業協同組合(川崎公夫代表理事組合長、組合員154人)は12日、同河川にアユの稚魚400キロ(約4万4700匹)を放流した。中間育成にかかる電気、餌代などの高騰で稚魚の価格が上昇する中、組合では何とか例年並みの放流量を維持。組合員費、一般遊漁料(年券)を値上げすることで、資源確保、組合運営の安定化に努める。解禁日は7月7日。稚魚の成育保護のため、6月1日から解禁日前日まで全魚種が禁漁となる。
稚魚の放流には組合員約20人が参加した。購入先の盛川漁協(大船渡市)から稚魚を積んだトラック2台が集合場所(鵜住居町神ノ沢)に到着後、2班に分かれて放流に向かった。放流箇所は同町日ノ神橋下流から橋野町の産直どんぐり広場手前までの約20カ所。バケツリレーや水槽からホースを延ばす形で作業にあたった。
盛川漁協で中間育成された稚魚は体長約8~9センチ、重さは平均9グラム。バケツの中で元気に飛び跳ね、川に放つと勢いよく泳ぎ出した。天候や水温が順調に推移すれば、解禁日には20センチ前後に成長した姿が見られそうだ。
トラックの水槽から稚魚をバケツに移し放流=日ノ神橋下流
組合員が協力しバケツリレー(写真左)。一部箇所はホースを延ばし、水槽から直接放流(同右)
アユの順調な生育を願い、作業にあたる鵜住居川漁協の組合員ら
「昨年は最高のシーズンだった」と川崎組合長(74)。解禁日から大きい個体が多く、天然ものの遡上も増えた。台風など大雨の影響がなく、水量も安定していたことが要因とみられる。新型コロナウイルス感染症の5類移行もあり、県内外からの釣り客が増加。遊漁料の売り上げは過去最高の実績となったという。「釣り人同士のトラブルも無く、10~20人の団体で来てもごみを残さず帰ってくれた」とマナー向上も喜ぶ。
一方で、近年の社会、経済情勢の変化により、稚魚の中間育成にかかる費用(電気、餌、輸送費など)は大幅に増大。これに伴い、稚魚の価格も上昇が見込まれる。鵜住居川漁協の稚魚放流は組合員費と一般釣り客の遊漁料のほか、河川工事業者や地元地域会議からの協賛金で実施。組合は例年通りの放流量を維持するため、本年度の組合員費、一般遊漁料(年券)の値上げを決めた。組合員は年間4000円から5000円に、一般遊漁料(年券)は5500円から7000円に引き上げる。一般の日券は1500円のまま据え置く。組合は「稚魚の高騰で苦しい状況。何卒ご理解を」と呼び掛ける。
雲南橋ではロープにくくったバケツを下ろして放流(写真右、左上)
複数ある橋の下など例年通りのポイントに放流
「元気に育て!」川に飛び込む稚魚を送り出す組合員
遊漁券は市内の釣具店や流域の赤いのぼり旗を掲げた販売所で購入できるほか、スマホアプリ「フィッシュパス」で24時間いつでも購入可能。釣具店の店頭にも読み込み用QRコードが掲示される。電子遊漁券購入者は釣り場でのスマホ操作で券を有効にすることで、保有を証明できる。GPS機能で居場所が分かるため、漁協の監視業務効率化にもつながっているという。
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