街なかに戻る歓声 釜石・大只越公園リニューアル 震災後の仮設商店街から復旧、利用再開
大只越公園がリニューアル。新しい遊具で楽しむ子どもたち
東日本大震災後に仮設商店街用地となっていた釜石市大只越町の大只越公園(愛称:青葉公園)の復旧整備工事が完了し、3月下旬から利用が再開された。幅広い年代が体を動かせるよう遊具を新調。トイレはバリアフリー化した。樹木を伐採、せん定して見通しの良い開放的な空間を確保。街なかに戻ってきた憩いの場に子どもたちの歓声や住民の笑顔が広がっている。
市中心部の東部地区にある公園は面積約3300平方メートル。3つのエリアに分類し、遊具エリアに設置した滑り台やブランコなど子ども向け遊具3基はリニューアル。大人も楽しめるよう健康遊具2基を新たに加えた。休憩場所にもなるあずまや1カ所を新設。運動エリアは細かく砕いた石を敷いたダスト舗装に改修し、転倒時のけが軽減など安全性の向上を図った。
子どもたちが夢中になる「遊具エリア」
大人も体を動かせる健康遊具を設置した
走ったりボールで遊んだりできる「運動エリア」
石応禅寺境内に隣接し、静かなたたずまいも特徴の一つ。自然観賞エリアはもともとある人工池などを生かしつつ、周囲の立木を手入れした。公園内には、明治の津波などに関する記念碑、供養碑が点在し、まちの歴史を知る散策も楽しめる。トイレも改修し、車いすやベビーカーでも気軽に利用できるようスロープを設けた。
「自然観賞エリア」で池をのぞき込む子どもたち
記念碑などがあり津波の歴史を知ることもできる
3月25日に現地で開園式があり、近隣住民や市関係者ら約50人が参加。あいさつに立った小野共市長は「公園が地域の活性化につながり、子どもたちの健やかでたくましい成長の一助になれば」と期待を述べた。
子どもたちはさっそく広場でボール遊びをしたり、思いっきり走り回った。真新しい遊具に触れて、うれしそうな笑顔も次々と伝ぱ。根元璃玖君(10)は「全力で走れる。友達と何回も来るー」と言って駆け出し、母眞生さん(32)は「フェンスがあり、安心して送り出せる。なじみのある場所だったが、震災後は声が減ったイメージがあった。明るさが戻ってきた」と喜んだ。
開園式に参加した地域住民や関係者ら
同公園は1978年の供用開始から市民活動の場として親しまれてきた。2011年の震災後は被災事業者支援のため仮設の青葉公園商店街として営業し、なりわい再建を後押し。各事業者が本設の店舗を構えたことから役割を終え、2020年に解体撤去した。公園の復旧整備に向け、市は地域住民らを交えたワークショップを3回開催。寄せられた意見を設計に取り入れ、昨年9月に工事に着手。今年3月に整備を終えた。
大只越町内会の山崎義勝会長(70)は「限られた予算の中で創意工夫し、私たちの意見を十分に反映してもらった。憩いの場、交流の場として大いに活用したい」と歓迎。開園式の参加者にきれいな環境を保つような利用の仕方、協力も求めていた。
釜石新聞NewS
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