卒業、新たな門出 歌声で後押し ノイホフ・クワィアー(釜石) 歴史つなぐ演奏会


2024/03/21
釜石新聞NewS #文化・教育

心を一つに歌声を響かせる団員、ワークショップ参加者ら

心を一つに歌声を響かせる団員、ワークショップ参加者ら

 
 釜石市の「親と子の合唱団ノイホフ・クワィアー」(小澤一郎代表)のファミリーコンサートは17日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。145回目となる演奏会のテーマは「卒業に寄せて」。この春、旅立ちを迎える18歳の団員は思い出や未来への期待を歌声にのせた。歌う楽しさを体感してもらおうと実施したワークショップの参加者4人も加わり、成果を披露。多彩な声の重なりで観客ら約100人に感動を届けた。
 
 同団は今年で創立47年となる。演奏会は3部構成で、「東洋のひびき・西洋のひびき」と題した1部には高校3年生~70代までの団員、他地域から駆け付けたメンバーら11人が出演。創立者の故渡辺顕麿さん(宝樹寺元住職)をしのんでグレゴリオ聖歌や典礼聖歌、仏教賛歌など8曲を厳かに響かせた。
 
そろいの衣装で美しいハーモニーを聞かせた1部のステージ

そろいの衣装で美しいハーモニーを聞かせた1部のステージ

 
 2部は出会いと別れの季節にちなみ、卒業ソングや新たな門出の背中を押すような言葉が続く8曲を披露。「涙そうそう」「栄光の架橋」では約1カ月のワークショップを経た4人もステージに立った。小学校卒業の思い出にと参加した石田啓将君(12)と鈴木一惺君(11)は、同団の歌声に爽やかさを上乗せ。「緊張したけど楽しかった。心を一つにして歌えた」と満足感たっぷりの笑顔を見せた。
 
2部では卒業や門出を迎えた人へエールを送る歌声を聴かせた

2部では卒業や門出を迎えた人へエールを送る歌声を聴かせた

 
ワークショップ参加者も堂々とステージに立って声を合わせた

ワークショップ参加者も堂々とステージに立って声を合わせた

 
 3部のテーマは映画音楽。「エデンの東」「駅馬車」「チキチキバンバン」など同団で歌い継いできた8曲を、元気な振り付けを加えながら聞かせた。踊りながら歌うパフォーマンスを「これぞ、ノイホフ」と楽しんだのは中妻町の70代夫婦。子どもが同団出身だったこともあり、長く見守ってきた。「歌声がきれいだった」「あんなにたくさんの曲の歌詞を覚えているのがすごい」と感心。この歴史がつながるのを期待していた。
 
3部は振り付けも交えて歌ってノイホフらしいステージに

3部は振り付けも交えて歌ってノイホフらしいステージに

 
楽しいステージに観客は手拍子して盛り上げた

楽しいステージに観客は手拍子して盛り上げた

 
 アンコールで2曲披露した後には、この春に釜石を離れる団員の“卒業式”を催した。同団の子どもたちは「釜石ノイホフ少年少女合唱隊」としても活動するが、高校卒業と同時に卒隊となる。今年は、ただ一人の高校生メンバーだった千代川陽琉さん(18)がその時を迎えた。小学3年の時から約10年、大好きな音楽に触れる中でたくさんの人と出会い、さまざまなことを学んだ。「あたたかい雰囲気で見守ってもらい、伸び伸びできた」と感謝。ノイホフでの経験や抱いた感情を生かす未来を思い描きながら新たな歩を踏み出す決意を、3部で歌った「My way」に込めた。
 
 「卒隊しても演奏会には歌いに来たい」と望む千代川陽琉さん(手前)

「卒隊しても演奏会には歌いに来たい」と望む千代川陽琉さん(手前)

 
ともに歌って楽しむことを体現する指揮者の小澤一郎代表

ともに歌って楽しむことを体現する指揮者の小澤一郎代表

 
 ここ数年、新型コロナウイルスの影響で少数の出演が続いた。今回はワークショップ参加者を加えた総勢15人で声を合わせる楽しさを共有。指揮する小澤代表(47)も心で歌いながら気持ちを分かち合った。自身も同団で子どもの頃から歌い、年代を超えた声の重なりの奥深さを体感。その経験を子どもたちに伝え、表現する機会をつくり出すのが役目と感じていて、「歌いたい人たちの受け皿として、これからも一歩ずつ活動を積み重ねていきたい」と歴史の継承へ思いを深めた。
 
 12月にはクリスマスコンサートを予定する。

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