防災まちづくり推進!釜石市 アグープと覚書締結、人流データ活用 避難行動の検証へ実証実験


2023/12/26
釜石新聞NewS #防災・安全

覚書を取り交わす小野共市長(左)と柴山和久社長

覚書を取り交わす小野共市長(左)と柴山和久社長

 
 釜石市は19日、ソフトバンク子会社で位置情報を活用したビッグデータ事業を手掛けるAgoop(アグープ、東京都渋谷区、柴山和久代表取締役社長兼CEO)と防災まちづくりの推進に関する覚書を結んだ。スマートフォンなど携帯端末の位置情報を活用し、災害時の避難行動のあり方を検証するため実証実験を行うのが主な目的。来年3月に市全域で実施する避難訓練などで人流データを収集・分析し、防災計画などの政策に反映する。
 
 同社は同意を得た利用者のスマホアプリから移動の速度や方向などのデータを匿名化して収集している。活用するのはスマホの衛星利用測位システム(GPS)で、独自開発の歩数計測アプリをダウンロードしてもらう。アプリは通信事業者を問わず使うことができるという。
  
避難行動分析イメージ。釜石市中心部の津波浸水想定にスマホの位置情報を重ねた(Agoop提供)

避難行動分析イメージ。釜石市中心部の津波浸水想定にスマホの位置情報を重ねた(Agoop提供)

  
 実証実験は来年3月3日の釜石市地震・津波避難訓練で行う予定。「津波到達前に避難できているか」「浸水域を通っていないか」など避難速度や経路を確認する。避難場所の人数もリアルタイムで計測。救助、物資供給など即時支援につなげる態勢の構築を目指す。
 
 釜石市役所であった締結式で、小野共市長と柴山社長が覚書に署名した。柴山社長は「人流データを人の命を救うために役立てることができる。避難行動を見直し、考えてもらえるのでは」と意義を強調。小野市長は「データを基に釜石の防災を確かなものにしたい」と期待を込めた。
 
覚書に署名する小野市長(手前左)と柴山社長(同右)

覚書に署名する小野市長(手前左)と柴山社長(同右)

 
 締結のきっかけは、東日本大震災。市によると、発災時、市指定ではない避難場所に逃げる人もいて安否確認や避難者情報の把握に時間を要した。「どこに、どれくらいの人が避難しているか。どう探し出すか」。方策に頭を悩ませていた頃、同社が新型コロナウイルスの感染拡大に関連して人流データを公開しているのを知り、「課題解決につながるのでは」と市側が話を持ちかけた。
 
 同社はコロナ禍の人流解析に使ったこの技術とデータを防災面でも生かしている。20年7月の熊本豪雨では熊本赤十字病院が避難所に支援スタッフを派遣する際に活用。日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震で津波被害が懸念される北海道根室市の花咲漁港で行われた防災訓練でも利用した実績がある。災害対策に特化し覚書を締結するのは釜石市が初めてだという。
 
技術の概要を説明する柴山社長らアグープ関係者

技術の概要を説明する柴山社長らアグープ関係者

 
 避難行動の分析を実証するためには「データ量が鍵」になる。市では防災訓練実施の周知を図るほか、市教育委員会や学校を通じて小中学生や高校生、その保護者らにアプリの導入を働きかける考え。佐々木道弘危機管理監は「津波の避難対象は約1万2000人で、その15~20%に当たる市民の協力をお願いしたい」と呼びかける。
 
 震災時の経験を踏まえ、「どこに、どんな人が避難しているか把握した上で必要な対策、優先度を見いだしていくことが大事」と佐々木危機管理監。県の津波浸水想定は震災時より広範囲に被害が及ぶとされ、「これまでと同じ避難のし方ではいけない。幾重にもある避難方法…さまざま考えておいても足りることはない。セーフティーネットの一つとして防災、災害対策に生かし、計画づくりを進めていく」と力を込めた。

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