危険がいっぱい!道路横断・車の運転 双葉小児童と祖父母ら、ゲーム感覚で体験 一緒に守る交通安全/釜石
シミュレーターを使い、道路の横断を疑似体験する参加者
孫となら積極的に参加するはず―。児童とその祖父母らが一緒に学ぶ交通安全教室が6月26日、釜石市新町の双葉小(及川美香子校長、児童130人)で開かれた。高齢者の交通事故防止に向け、同校と釜石警察署(田中洋二署長)が初企画。道路横断シミュレーターの体験や県警音楽隊によるコンサートを楽しみながら、安全意識を高め合った。
2年生(20人)、3年生(19人)の祖父母や地域のお年寄りに呼びかけしたところ、合わせて約40人が参加。児童と一緒に道路横断の危険予測や運転者の模擬体験に挑戦した。歩行を疑似体験する祖父母らは車や自転車との距離感がつかめなかったり、天候や時間帯によって視界が異なったりして事故が多発。寄り添った児童が「止まった方がいいよ。(信号が)赤だよ」などと声をかけ、注意を促す場面もあった。
画面に映し出される情報を基に道路横断を疑似体験
体験したお年寄りたちの多くは進行方向だけ見ていたり、左右の安全確認をする際に首を動かす角度が小さかったり。署員は「まっすぐな道は見通しが良くても危険は潜んでいるので、気を付けてほしい。(歩行者側が)青信号でも車が来ていることもあるので、左右を確認しながら渡ってください」と呼びかけた。左右を見た“つもり”ではなく、「首をしっかり振って安全確認を」と強調。トラックの内輪差の危険性、余裕を持った車の運転など心構えについても繰り返し説明した。
交通安全ふれあいコンサートではアニメや映画のテーマ曲、歌謡曲など多世代に耳なじみのある曲が披露された。隊員による寸劇もあり、本年度から努力義務化された自転車利用時のヘルメット着用を呼びかけ。生演奏に乗せて「守ろう交通ルール」という意識づけを図った。
楽しい音色に乗せて交通安全を呼びかける県警音楽隊
千鳥町の佐々木敬二さん(72)は「前ばかり見て歩いているのが分かった。普段歩いていて、ヒヤッとする場面になることもあるので気をつけたい」と再認識。「おじいちゃんと一緒で楽しかった。『危ないよ』といって守った」と笑う孫の斉藤碧星(あおと)君(3年)を見つめて、「こういう機会があれば参加するな」と実感を込めた。
教室では子どもと地域のお年寄りが一緒に交通安全を確認した
高齢化率(65歳以上)が40%超となっている釜石市。釜石署管内では2022年に37件の人身事故が発生している。うち65歳以上が起因となったのは8件で、全体の約22%。交通死亡事故は3件あり、うち2件が65歳以上の高齢者だった。高齢者の安全対策、意識づけが重要となり、その取り組みの一つが交通安全教室。積極的な参加が大事になるが、同署によると「教室を開いても集まりがよくない」「消極的で効果が薄い」など課題が多いという。
そんな中、及川校長が「孫と一緒ならば、きっと積極的に参加する」と提案し、同署が意見をくみ取って形にした。大倉德誌副署長は「高齢者の集まりもよく、印象に残る教室になったようだ。他校にも協力をお願いし、市内全域に広がる取り組みにしていければ」と手応えを得た。
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