「持続可能な観光地域づくり」へ全国8市町が共同宣言 釜石市で初のサミット開催


2023/02/27
釜石新聞NewS #観光

全国8市町が「持続可能な観光の推進に向けた共同宣言」を行ったサミット=14日、釜石市

全国8市町が「持続可能な観光の推進に向けた共同宣言」を行ったサミット=14日、釜石市

 
 釜石市など全国8市町でつくる日本「持続可能な観光」地域協議会は14日、釜石市民ホールTETTOで初のサミットを開いた。各市町の首長らが集い、「持続可能な観光の推進に向けた共同宣言」を採択。将来を見据え、国際基準を取り入れた観光地域づくりを広域連携で進めていくことをあらためて確認した。専門家の基調講演や各地域の取り組み報告もあり、民間の観光関係者を含め約150人が参加した。
 
 同協議会は2021年7月、釜石市の呼び掛けで発足。北海道ニセコ町、同弟子屈町、長野県小布施町、京都府宮津市、徳島県三好市、熊本県小国町、鹿児島県与論町が参画する。持続可能な観光を目指すための専門的支援、知見や情報の共有、連携する自治体のプロモーションに資する取り組みを推進し、地方創生のモデル地域を形成していくのが狙い。
 
日本「持続可能な観光」地域協議会代表理事の野田武則釜石市長があいさつ

日本「持続可能な観光」地域協議会代表理事の野田武則釜石市長があいさつ

 
 協議会の代表理事を務める野田武則釜石市長はサミット開催にあたり、「他市町の取り組みを参考にしながら共に切磋琢磨(せっさたくま)し、全国に持続可能な観光を発信してもらえれば」とあいさつ。共同宣言文には地域独自の文化と自然環境を保全し、持続可能な観光の国際基準(GSTC)に基づき、地域に貢献する観光を推進していくことが記され、8市町の首長が署名した。各市町からは、これまで経験した観光に関わる問題、課題解決への取り組み、協議会による連携への期待などが述べられた。
 
共同宣言署名に先立ち、協議会に参画する8市町の首長らが思いを述べた

共同宣言署名に先立ち、協議会に参画する8市町の首長らが思いを述べた

 
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 日本三景の一つ「天橋立(あまのはしだて)」を有する京都府宮津市の城崎雅文市長は、観光客による交通渋滞やごみ問題を経験した過去を踏まえ、「開発と保全のバランス、まさに持続可能な開発目標(SDGs)に関わる部分が重要になる。本協議会を中心に世界から選ばれる観光地を共に作っていきたい」と意気込んだ。
 
 町面積の約65%が「阿寒摩周国立公園」内という北海道弟子屈町の吉備津民夫副町長は、隣接4市町での「ゼロカーボンパーク」登録を紹介。「サミットを機に気候変動や資源の枯渇、生物多様性の保全など、問題解決への取り組みが全国に広がっていけば」と期待した。
 
 西日本第2の高峰「剣山」を有し、山と川が9割を占める徳島県三好市の高井美穂市長は、日本ジオパークの認定を目指していることを明かし、「自然と共存し、無理なく続けていける観光が地域課題の解決につながる。住民が喜んでもてなし、来た人にも喜んでもらえる好循環が持続可能な観光」との考えを示した。
 
 鹿児島県最南端の離島、与論町は沖縄復帰の前後で観光客数が大きく増減。最盛期に建設された観光施設の廃墟化など負の遺産問題を経験した。久留満博副町長は「一過性、消費型観光ではなく、島に残る美しい環境や貴重な文化、暮らしに配慮した取り組みが必要と考え、協議会に参加した。観光地のマネジメント、危機管理体制の構築などを早急に進めたい」と話した。
 
基調講演する高山傑さん(国連世界観光機関持続可能な観光プログラム諮問委員、観光庁「日本版持続可能な観光ガイドライン」アドバイザー)

基調講演する高山傑さん(国連世界観光機関持続可能な観光プログラム諮問委員、観光庁「日本版持続可能な観光ガイドライン」アドバイザー)

 
 基調講演の講師は、持続可能な観光の国際基準策定、評価における日本での第一人者、高山傑さん(一般社団法人JARTA代表理事)。GSTCの概要や持続可能な観光に必要なマネジメントなどについて説明した。
 
 高山さんは持続可能な観光の国際的定義を「経済、社会、環境への影響を十分に考慮した観光」とし、GSTCを活用した国際社会にも受け入れられる観光地づくりを促した。全ての関係者に支持されるマネジメント、数世代先を見据えた観光戦略の必要性も示し、▽土地の豊かさを失わない方針▽ブームではなく、ルーツにこだわる本物体験の加速▽地域住民の意見を反映した資源マネジメント▽地域で稼ぐための方策と後方支援―などをポイントに挙げた。
 
 GSTCは世界持続可能観光協議会が策定した達成すべき基準で、協議会から認定された第三者機関が実際の認証を行う。グリーン・デスティネーションズ(オランダ)は100項目の評価基準を設け、GSTC認証獲得への第一段階となる「世界の持続可能な観光地トップ100選」を2015年から発表。サミットを開いた地域協議会の8市町では釜石市(18年~5年連続)、ニセコ町(20、21年)、与論町(21年)、小国町(22年)が選出されている。釜石市は22年、全項目の70%で評価を得て、国内で唯一「シルバー賞」も受賞した。
 
釜石市の取り組みについて発表する市の担当者

釜石市の取り組みについて発表する市の担当者

 
 講演後は8市町と、同100選受賞に貢献してきた釜石市の観光地域づくり法人・かまいしDMC(河東英宜代表取締役)の取り組み報告も行われた。

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