伝えたい!災害の怖さ、備えや避難の大切さ 釜石東中3年生、栗林小で防災交流会


2022/11/28
釜石新聞NewS #文化・教育 #防災・安全

釜石東中と栗林小の防災交流会ですごろくを楽しむ児童生徒

釜石東中と栗林小の防災交流会ですごろくを楽しむ児童生徒

 
 主体的、実践的な防災学習に力を入れる釜石市鵜住居町の釜石東中(佃拓生校長、生徒102人)の3年生41人は22日、3年間の学びの成果を伝える防災交流会を栗林町の栗林小(八木澤江利子校長、児童33人)で開いた。津波の怖さ、避難の大切さを伝えようと、手作りの紙芝居やかるた、クイズなど8つの体験プログラムを用意し、小学生に挑戦してもらった。
  
すごろくのマスに書かれたお題に沿って机の下に潜る児童ら

すごろくのマスに書かれたお題に沿って机の下に潜る児童ら

  
 小学生は用意されたプログラムから、4つを選んで体験。すごろくでは、サイコロを振り、防災や災害時対応の問いなどが書かれたマスにコマを進めた。「一人で家にいる時に地震が起こったら?」との質問には、「まず身を守る」と答え、近くにあった机の下に潜ってじっとした。実験チームは、災害時に水道が使えなくなった場合の代替策を紹介。2〜3ミリほどの穴を開けたペットボトルを水道の蛇口のように使う方法で、キャップを緩めると穴から適量の水が出て、キャップを閉めれば水が止まる様子に児童は驚いていた。
  
ペットボトルを「簡易蛇口」として使う方法を伝える実験

ペットボトルを「簡易蛇口」として使う方法を伝える実験

 
かるたチームは伝えたい思いを読み札に詰め込んだ

かるたチームは伝えたい思いを読み札に詰め込んだ

  
 「想定にとらわれるな」「確かめよう 避難経路」「軽い気持ちでのぞむな 避難訓練」。地震や津波、日常の災害への備えを分かりやすく伝えようと作られた、かるたの読み札には3年生が伝えたい思いを詰め込んだ。三陸に伝わる「てんでんこ」を題材にした紙芝居では、「津波からそれぞれが身を守って逃げなければならないが、避難する場所を決めておけば、大切な人や家族と会うことができる」と訴えた。防災バックや非常食など事前の準備を強調するプレゼンテーション、避難所生活で気を付けることなどを示したパンフレットを配布するチームもあった。
 
「避難場所を決めて家族で共有して」。紙芝居で教訓を伝える

「避難場所を決めて家族で共有して」。紙芝居で教訓を伝える

 
プレゼンチームは防災バックの重さを体験してもらった

プレゼンチームは防災バックの重さを体験してもらった

 
地震発生時や避難所での行動をまとめた防災パンフレット

地震発生時や避難所での行動をまとめた防災パンフレット

 
 5人組の戦隊ヒーロー「てんでんこレンジャー」も登場。防災について学びを深めた児童たちに「大きくなった時に周りの人を助けられるようになってほしい。一緒に未来につなげていこう」と呼び掛けた。
 
 栗林小の小笠原虹南(にいな)さん(6年)は「クイズが印象に残った。エレベーターに乗っていて地震が起きた時に全部の階のボタンを押せば、最寄りの階で停止すると初めて知った。防災についてもっと勉強して、てんでんこレンジャーのような活動に関わってみたい」と刺激を受けた。
 
地震発生時の行動などを問いかけるクイズに挑戦する児童

地震発生時の行動などを問いかけるクイズに挑戦する児童

 
笑顔で交流した小学生と「てんでんこレンジャー」

笑顔で交流した小学生と「てんでんこレンジャー」

 
 釜石東中3年生は総合的な学習の一環で、防災に関する活動を積み重ねてきた。1年生では東日本大震災時の体験を地元住民らから聞き取り、「防災だより」としてまとめ「いのちをつなぐ未来館」で展示。2年生の時には避難困難者(障害者や高齢者、乳児のいる母親など)の行動の大変さを体験したり、地域住民との意見交換会で災害時に中学生ができることを発表し、助言をもらったりした。3年生では避難所運営訓練を実施。こうした活動をまとめた集大成が交流会で、震災を知らない子が増える中で、学びを次代につなぐため実践した。
  
「逃げれば、助かる!」。写真と映像で分かりやすく伝えた

「逃げれば、助かる!」。写真と映像で分かりやすく伝えた

  
 写真・映像チームは、震災時の鵜住居小児童の避難行動を描いたアニメ動画や同校校舎3階に車が突き刺さる写真などを見せ、「津波の威力はすごいし、とても怖い。でも、しっかり逃げれば命は助かる。津波が来ると分かったら、すぐに逃げよう」と児童に語りかけた。
 
 中学3年生は震災当時、2、3歳。佐々木和哉君は揺れの怖さを記憶するが、伝えられる側の小学生はほとんどがまだ生まれていなかった。知らない世代に分かりやすく伝えられるようリアルな映像やスライドを使うなど工夫。「災害の怖さと避難の大切さを伝えられた。自分の身を守る行動、防災について考えてもらう時間にしてもらえた」と手応えを感じた。花輪祐輔君は「もう守られる立場ではない。伝える立場なので、行動に移していきたい」と背筋を伸ばした。
  
 同様の交流会は、鵜住居小でも行った。
 
 

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