発信!「十分な備えあり」 釜石港でテロ対策訓練 関係機関が連携確認
船上で行われたテロ対策訓練で、テロリスト役(右)と対峙する海上保安官
テロの脅威に備える保安訓練は10月19日、釜石市の釜石港公共ふ頭周辺で行われた。岩手県警釜石署や釜石海上保安部など19機関の約90人が参加。情報共有、海陸での制圧、負傷者救助などの訓練を行い、有事の際の連携や水際対策の手順を確認した。
訓練の想定は「釜石港にテロリストが潜伏している情報が届いた」。警戒措置を取り、ふ頭など制限区域にいる人を避難させた。岸壁では停泊中の船舶に潜伏したテロリストが車を奪って逃走。パトカーが追跡、包囲して身柄を確保した。船内に残る不審者の身柄を海上保安官が確保。負傷した船員を釜石消防署の救急隊員が処置し、病院に搬送した。港内では小型ボートで逃走する3人のテロリストを発見し、海上保安部の巡視艇「きじかぜ」が追跡。銃撃を受けながら警告射撃をし、容疑者を制圧した。
ナイフを持ったテロリスト役(左)に向かう釜石警察署員
テロリスト役(前から2人目)を制圧した海上保安官
洋上で逃げるテロリストの小型ボート(手前)を追跡する釜石海上保安部の巡視艇
この訓練は、「国際航海船舶及び国際港湾施設の保安確保等に関する法律」に基づき、釜石港保安委員会(委員長・白旗牧人沿岸広域振興局土木部長)が毎年行う。白旗部長は「釜石港はガントリークレーンの供用開始以来、外航定期航路の開設、三陸沿岸道路などの開通と合わせ、コンテナ取扱量が増加傾向にあり、物流拠点としての需要が大きくなっている。国際交易が盛んになるほどテロリスクの高まりが懸念され、関係機関の連携を密にし保安体制に万全を期したい。『われわれには十分な備えがある』と外部に発信する機会にもなる」と意義を強調した。
コンテナ定期航路の開設により保安体制の強化が求められる釜石港
釜石港の危機管理担当者、釜石海上保安部の虻川浩介部長は「世界的に不安定な情勢が続く中、社会の混乱に乗じたテロの可能性も懸念される。日頃から地道に水際の対策を講じていくことが重要だ。今後も関係機関で連携し関連情報の収集、テロ警戒対象施設の警戒監視の強化を図り、港湾の保安向上に努めていく」と力を込めた。
釜石新聞NewS
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