釜石市新庁舎 津波対策講じ計画通り天神町に建設へ 市が住民説明会開始


2022/08/26
釜石新聞NewS #地域

新市庁舎建設に係る住民説明会=22日、唐丹町

新市庁舎建設に係る住民説明会=22日、唐丹町

 
 県が3月に公表した最大クラスの津波浸水想定を受け、新庁舎建設計画の再検討を進めてきた釜石市は、津波対策を講じた上で計画する天神町・旧釜石小跡地への建設方針を固め、22日から住民説明会を開始した。31日まで6カ所で開催。市民の理解を得て、新たに必要な経費などを9月議会に提案する。
 
 22日は唐丹地区生活応援センターで説明会が開かれ、町内会の代表など11人が出席した。野田武則市長は津波による浸水が想定される同所への建設について、「県の浸水想定はあくまでも避難のための発表で、土地利用には影響しない。中心市街地の人口減、経済的衰退を防ぎ、津波避難場所を確保するためにも東部地区への建設が必要」と理解を求めた。
 
 市は2019年に新庁舎建設基本計画を策定。20年に国が公表した「日本海溝沿いの最大クラスの津波浸水想定」を受け、敷地を1~2メートル程度かさ上げする設計変更を行ったが、本年3月、県が新たに最大津波の浸水想定を示したことで、再検討が行われてきた。県の想定では、建設地はかさ上げ後の地盤高で3メートル程度(建物1階の約3分の2)浸水する可能性があるとされる。
 
釜石市の新市庁舎建設予定地(天神町・旧釜石小跡地)

釜石市の新市庁舎建設予定地(天神町・旧釜石小跡地)

 
 説明会で市は、新市庁舎建設検討委員会、市議会、市総合振興審議会で了承された方針として、①建設場所を引き続き天神町とする②2階以上での避難を基本とし、1階フロアは機材や書類などの配置を最小限とする―ことを説明。計画の大幅な変更は行わず、一時避難場所の確保、浸水による業務への影響低減を図れるようにする。
 
 唐丹地区の出席者からは、交流スペースや電話回線への要望、現庁舎跡地の活用についての質問が出されたが、示された方針に対する反対意見は出なかった。
 
建物外観イメージや各階エリア図などが示された

建物外観イメージや各階エリア図などが示された

 
建設計画案について説明後、住民の意見を聞いた

建設計画案について説明後、住民の意見を聞いた

 
 新市庁舎は4階建てで、1階に窓口とみんなのホール(交流スペース)、2~3階に執務室と会議室、4階に議場を設ける計画。財源は庁舎建設基金、市債発行など。コロナ禍や社会情勢の変化で建設資材の高騰が続いていることから、あらためて建設費を算出する。浸水想定区域内への建設のため、津波に対する耐久調査費用も加える予定。
 
 市は本年度中に設計の再積算などを終え、23年度当初に発注手続き、工事着手したい考え。工事期間は22カ月を見込み、24年度末の完成、25年度の開庁を目指す。
 
天神復興住宅(右)駐車場と新たに整備した市道を隔てた場所が建設予定地

天神復興住宅(右)駐車場と新たに整備した市道を隔てた場所が建設予定地

 
 今後の住民説明会の日程は次の通り。
8月27日(土)午前10時・市民ホールTETTO、午後1時半・中妻地区生活応援センター/29日(月)午後6時半・松倉地区コミュニティ消防センター/30日(火)午後6時半・小佐野地区生活応援センター/31日(水)午後6時半・鵜住居地区生活応援センター

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