水ぬるむ春 釜石・鵜住居川、甲子川にアユの稚魚放流 解禁は7月
鵜住居川へのアユの稚魚放流=8日、栗林町
釜石市の鵜住居川、甲子川に今年もアユの稚魚が放流された。大船渡市の盛川漁業協同組合の施設で中間育成され、体長10センチ弱に育った稚魚を関係者が放流。稚魚の成育保護のため、両河川は6月1日から全魚種が禁漁となる。解禁日は甲子川が7月3日、鵜住居川が7月10日。
鵜住居川では8日、鵜住居川漁業協同組合(川崎公夫代表理事組合長、組合員160人)が重量にして400キロの稚魚を放流した。鵜住居町日ノ神橋付近から橋野町の産地直売所「どんぐり広場」付近まで約20カ所に、稚魚を積んだトラック2台が移動しながら放流。組合員約30人が2班に分かれて同行し作業にあたった。
バケツリレーでアユの稚魚を川まで運ぶ鵜住居川漁協の組合員ら
橋の近くなど各ポイントで放流作業を行った
大きく育つよう願いを込めて放流。解禁日に期待
稚魚は体長約8~9センチ、重さは平均8・8グラム。水に放たれると、上流方向へ元気に泳ぎ出した。同河川の放流は組合費、一般釣り客の遊漁料のほか、地元地域会議や河川工事業者からの協賛金で賄われる。今年の事業費は約160万円。
川崎組合長(72)は「昨年は生育も良く、解禁日には20センチぐらいに成長。釣果も良かった。今年も昨年並みに推移すれば」と期待。釣り客には密漁の禁止、ごみの持ち帰りの徹底など「法やマナーを守って楽しんでほしい」と呼び掛ける。
鵜住居川での釣りには組合員証か遊漁券が必要。遊漁券(日券、年券あり)は、市内の釣具店や流域の小売店など赤いのぼり旗を掲げた販売所で購入できる。
甲子川へのアユの稚魚放流=12日、松倉橋付近
一方、甲子川のアユの稚魚の放流は12日に行われた。甲子川鮎釣協力会(安久津吉延会長)、甲子地域会議、クボタ環境サービスの3者で実施。総重量300キロを小川川との合流地点から甲子町洞泉までの区間、約20カ所に放流した。約50人が上流と下流に分かれ、トラック2台について作業にあたった。事業費は約115万円。
この日の甲子川の水温は15度。関係者によると水量も例年並みで、稚魚にとってもいい環境。同協力会会員の甲子町「釣具オヤマ」店主、小山哲平さん(45)は「放流を続けることで魚がいる河川環境が保たれる。自然産卵を促すため下流域を9月15日以降、禁漁にするなど、資源保全の取り組みを続けている」と話す。
稚魚を積んだトラックからホースを延ばす参加者
甲子川鮎釣協力会メンバーらが放流作業を担った
河川漁協のない甲子川は入漁料を徴収しないため、稚魚の放流は同協力会に寄せられる釣り人らの協力金で支えられる。300キロの放流は3年連続。極端な大雨や低温などがなければ、アユは解禁日には15~18センチほどに成長する見込み。
鵜住居、甲子の両河川では、この後、ヤマメやイワナの稚魚の放流も予定される。
釜石新聞NewS
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