コロナ下、3度目の新年度始まる 釜石の新規採用者「前向きに」
ラグビー研修に参加した新規採用職員。期待や責任を胸に一歩を踏み出す=4日、釜石鵜住居復興スタジアム
新年度が始まった1日、釜石市内の役所や企業も新たなスタートを切った。新型コロナウイルス禍の中で迎えた3度目の春も感染対策を徹底し、マスク姿で辞令交付式、新人研修を実施。感染流行の収束はいまだ見通せないが、社会人としての一歩を踏み出した若者からは前向きな言葉が聞かれた。
釜石市役所 新採用職員に辞令交付 センバツ出場の大尻さん「恩返しを」
釜石市の新職員を代表して宣誓書を読み上げる大尻悠矢さん=1日、釜石市役所議場
釜石市役所では議場に一堂に会す例年のスタイルで、新採用職員への辞令交付を行った。本年度の新職員は13人。それぞれ緊張の面持ちで野田武則市長から辞令交付を受けた後、新職員を代表して大尻悠矢さん(22)が「市民全体の奉仕者として、誠実、公正に職務を遂行する」と宣誓書を読み上げ、社会人としての決意を固めた。
大尻さんは平田出身で、釜石高時代は野球に熱中。2016年の第88回センバツ大会に21世紀枠で出場し、8番打者、捕手として甲子園のグラウンドに立った。その時に全市を挙げた応援を受け、「いつか恩返しを」と決意。東北学院大(宮城県)教養学部に進み、教員免許も取得したが、「釜石市のために働きたい」と、この道を選んだ。
市職員としての歩みは総合政策課オープンシティ推進室から始まる。高校時代は1年生で正捕手を任され、強気なリードが持ち味だった。主将としてチームをまとめた経験もある。「仕事する上では、若い意見も必要になると思う。積極的に発言し、盛り上げていきたい」と背筋を伸ばした。
マスク姿で野田市長の訓示に聞き入る幹部職員=1日、釜石市役所議場
辞令交付を終え、野田市長が訓示。晴山真澄副市長や各部長など約30人の幹部職員に対し、「東日本大震災からの復興、激甚化する災害への対応、感染症対策、人口減と経済縮小、新市庁舎建設-さまざまな課題を抱えている。一致団結して課題に取り組み、市民の期待に応えていこう」と呼び掛けた。まちづくりの合言葉は「不撓(ふとう)不屈」と強調。その力を得るためは、逆境から粘り強く立ち直る力を意味する「レジリエンス」が必要だとし、「挑戦していく力、思いを持ち続けてほしい」と奮起を促した。
役所・企業の新戦力 ラグビー研修でチームプレー体感
チームプレーや声掛けの大切さを体感するラグビー研修=4日、釜石鵜住居復興スタジアム
市は4日、鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムで新規採用職員を対象にしたラグビー研修を行った。「ラグビーのまち」に理解を深めてもらおうという新人研修の一環。市内企業の新人も含む計18人が参加し、パスをつないでトライまでの速さを競ったりしながらチームプレーの大切さを体感した。
新人職員らは、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催の概要や得たレガシー(遺産)、ラグビー憲章に掲げられている▽品位▽情熱▽結束▽規律▽尊重-という5つの精神がまちづくりにも通じることなどを学んだ後、グラウンドへ。新採用職員の一人でスポーツ推進課に配属された釜石シーウェイブス(SW)RFC元選手の佐伯悠さん(37)らの指導で、タグラグビーなどに取り組んだ。
「きつい」と言いつつ、ラグビーを楽しむ新人職員ら=4日、釜石鵜住居復興スタジアム
地元の建設業青紀土木から4人が参加。小川町の昆夏樹さん(23)はグラウンドを縦横無尽に駆け回り、「息が切れたけど、良いところ見せようと頑張った。初対面の人とコミュニケーションをとってチームをまとめる経験は仕事にも役立つ。建設業は生活を支えるすごい仕事。分からないことばかりだが、前向きにしっかり学んでいきたい」と力を込めた。
1日からは成人年齢が18歳に引き下げられた。市総務課に配属が決まっている佐々木里桜さん(18)は「成人したとの実感はないが、社会人として責任の重さは感じている。住んで良かったと思ってもらえるようなまちづくりに少しでも貢献できる職員になりたい」と意欲。高校時代は吹奏楽部に所属していたといい、「お金をためて楽器(フルート)を買えたら、市民吹奏楽団に入りたい」と新生活へ期待も広げていた。
釜石新聞NewS
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