東北電力、「電力ビル釜石」完成 新社屋で三陸沿岸の安定供給守る


2022/01/27
釜石新聞NewS #産業・経済

地域共生をコンセプトに建設された岩手三陸営業所(右)と釜石電力センター

地域共生をコンセプトに建設された岩手三陸営業所(右)と釜石電力センター

 

 東北電力岩手三陸営業所(熊谷啓一所長)と東北電力ネットワーク釜石電力センター(田中誠所長)の新社屋が釜石市中妻町に完成し、20日に竣工(しゅんこう)式が行われた。東日本大震災で被災し、仮社屋を経て待望の本設施設。地域共生をコンセプトに、鉄とラグビーをイメージさせるデザインを取り入れた建物で、3月1日に完全移転、業務を開始する予定だ。

 

 建物名は「電力ビル釜石」。軽量鉄骨造り平屋建ての三陸営業所(面積272平方メートル)と鉄骨造り2階建ての電力センター(延べ床面積1473平方メートル)からなり、2つの建物は渡り廊下でつながる。三陸営業所は「ラグビーボール」をイメージした茶系の色を使った外観が特徴。グレーを基調にした電力センターは、「鉄」をイメージした黒色をアクセントに入れている。鉄骨平屋の車庫倉庫(面積515平方メートル)も整備した。

 

 竣工式には関係者約50人が出席。神事の後には内覧会があり、執務室や共有フリースペースなどが披露された。立地場所の周辺には警察署やファミリーレストランなどがあり、市民や事業者らは生活を支えるインフラの安定稼働を歓迎した。

 

完成した新社屋を見学する関係者ら

完成した新社屋を見学する関係者ら

 

 大町にあった旧釜石営業所は津波で全壊し、2011年11月からは甲子町のプレハブの仮社屋で業務を続けてきた。旧営業所は18年7月、販売業務などを担う岩手三陸営業所と送配電業務を担当する釜石電力センターに再編された。

 

 社屋の整備に当たっては当初、元の場所での再建を考えていた。市が商業とにぎわいの拠点として大町地区の土地利用を計画したことから売却。現在は市民ホールが建ち、市民の憩いの場になっている。代替えとして、現地の利用を提案され、同社で取得。19年11月に着工し、2年以上に及ぶ再建工事を経て竣工した。

 

 三陸営業所は田野畑村から陸前高田市までをカバーする。従業員は16人。熊谷所長は「やっと竣工を迎え、感慨深い。『寄り添う力』のスローガンの下、安定供給と暮らしに役立つサービスを提供していく」と気を引き締めた。電力センターは釜石、大槌町エリアを担当し、従業員は37人。田中所長は「地域のシンボル的な事業所になるよう、住民のニーズを聞きながら業務を展開する」と力を込めた。

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