海洋ごみは人間の暮らし、健康にも影響 釜石で「海ごみゼロウィーク」活動


2021/10/07
釜石新聞NewS #地域

「秋の海ごみゼロウィーク」釜石の活動参加者

「秋の海ごみゼロウィーク」釜石の活動参加者

 

 世界的な海洋ごみ問題への意識啓発が叫ばれる中、釜石市の市民グループ「かまいし環境ネットワーク」(加藤直子代表、18人)は9月25日、同市片岸町の片岸海岸でごみ拾いを行った。18日から26日まで展開された「秋の海ごみゼロウィーク2021」(環境省、日本財団主催)の全国一斉清掃キャンペーンに参加する形で活動。海に流出するごみをなくすために行動を起こす必要性を再認識した。

 

 同グループは昨年秋から、海ごみゼロの清掃キャンペーンに参加。今回は新型コロナウイルス感染拡大防止を考慮し、一般参加募集の広報は行わず、メンバーと関係機関の職員ら約20人で小規模に活動した。

 

 片岸海岸は東日本大震災前までは、鵜住居川河口をはさんで根浜海岸と隣接。震災の津波に襲われたが、かろうじて大規模な砂浜流失は免れ、海水浴や復興支援のイベント会場などに利用されてきた。今夏もキャンプや釣りなどのレジャー客が訪れている。

 

ごみ拾いが行われた片岸海岸。震災の津波で周辺の環境は大きく変わった

ごみ拾いが行われた片岸海岸。震災の津波で周辺の環境は大きく変わった

 

 この日の清掃活動では、夏の間に放置されたとみられる空ペットボトル、釣りの仕掛け、たばこの吸い殻などが見つかった。中には、大型ごみ袋に入れたものを置き去りにした悪質なケースも。比較的新しいごみのほか、劣化したビニールや発泡スチロール片、壊れてさびた漁具などもあった。1時間の作業で集められたごみの量は約30キロ。

 

砂に埋もれていたごみを回収。浜辺にはたき火の跡も

砂に埋もれていたごみを回収。浜辺にはたき火の跡も

 

参加者は目を凝らし、小さなごみも回収した

参加者は目を凝らし、小さなごみも回収した

 

 活動に先立ち加藤代表は、近年問題視されている「マイクロプラスチック」について説明。波にもまれ微小化したプラスチックごみを海洋生物が飲み込んでしまい、消化不全などで死に至っていること、魚介類を介して人体にもマイクロプラスチックが取り込まれている実態を示した。「海外の研究では、人はクレジットカード1枚分のプラスチックを毎週摂取している可能性があるとの指摘も。プラごみは太陽光や水にさらされると、劣化が進む過程でメタンガスやエチレンガスを発生させることも分かっている」と話し、健康や地球温暖化への影響を懸念した。

 

 同グループのメンバー佐野幸子さん、菊池有美子さんは「海洋生物の体内からプラごみが見つかったニュースなどを見聞きするたび、人間の身勝手さを感じる。何十年か後には海の中がプラごみでいっぱいになる可能性も。小さくても私たちにできることをやっていきたい」と、ごみ減量や脱プラスチックへの意識を高めた。

 

 同グループではコロナ収束後には、広く市民に参加を呼び掛けて、海辺などの清掃を行っていきたいとしている。

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