おいしい梅酒の原料に~釜石のウメ集荷「出来は、程よい」
今季2回目となる集荷会に収穫したウメの実を持ち込む生産者ら
釜石市、大槌町のウメ生産者らでつくる釜石地方梅栽培研究会(前川訓章会長、22会員)は6月28日、2021年度総会と集荷会を栗林町の栗橋地区基幹集落センターで開いた。今年は気温が高めだったものの適度な降雨量もあり、ウメの実の出来はまずまず。梅酒の原料として地元の酒造会社浜千鳥(新里進社長)に提供しており、最終的な集荷量は3トン超と見込む。
総会には約20人が出席した。事務局を務める浜千鳥によると、昨年の青梅集荷実績は1529キロ(前年対比37・7%)で、出荷者は16人(うち会員12人)。前年産の青梅を使った梅酒の出荷量は1万1100本(720ミリリットル入り)だった。
本年度は計4回の集荷会、せん定や病害防除を学ぶ栽培講習会、会員ほ場の見学などを計画。良質なウメの栽培や安定した生産の確保を目指す。また、生産者勧誘と生産面積の拡大運動、梅酒製造後のウメの実(漬梅)を利用した商品開発と試験販売に向けた取り組みも進めることにしている。
今年の集荷は、この日が2回目。生産者は丸々とした青緑の実を持ち込み、次々に計量した。3~4月の気候が穏やかだったのに加え、5~6月には適度に雨が降り、粒の大きさも「程よい」と生産者ら。栗林町の兼業農家小笠原房子さん(71)は約20本を育てており、「商品になるものだから、いいのを選んだ。こうして買ってもらってありがたい」と、今回は約25キロを出荷した。
集荷したウメを計量する浜千鳥の社員。「実の出来もいい」と手応えを感じていた
浜千鳥の梅酒製造のため、地元産ウメの一括集荷が行われるようになって10年超。遊休農地の利活用、出荷先確保など農業振興につながる要素は大きいが、生産者の高齢化も進んでいて、安定供給を維持するのは難しい。前川会長(75)は「昨年は近年にない凶作だったが、今年はいい手応え。自然が相手で大変な面もあるが、熱い気持ちを持ち続け、より良いものをつくっていきたい」と前を向いた。
昨年収穫したウメを使った梅酒は数量限定で販売中。今年から「家飲み」需要を見込み、300ミリリットル入りも売り出している。
釜石新聞NewS
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