隠れた名所「橋野鉄鉱山」石割桜 今年も見事な花姿に~地域住民は道路美化で来訪者をお出迎え
「橋野鉄鉱山」高炉場跡内に自生する〝石割桜〟
山里にも本格的春到来―。釜石市の北西部に位置する橋野町青ノ木地区は、市街地より一足遅れて桜の季節を迎えている。同所の世界遺産「橋野鉄鉱山」の高炉場跡にひっそりとたたずむ〝石割桜〟は、例年より1週間ほど早く開花し、訪れる観光客の目を楽しませている。
三番高炉の東側、山神社の拝殿跡付近にある石割桜は、長さ約5・5メートル、高さ約1・5メートルの三角状の花崗(かこう)岩の間から生える3本のヤマザクラ。樹高は約15メートル、樹齢約90年と推定される。
こけむした花崗岩の上にも根を伸ばす
開花時期は例年5月初旬だが、今年は3月の気温が平年より高く推移したことで、4月24日ごろから咲き始めた。28日の時点で6分咲き。周囲の地盤は斜面になっており、見る角度によって異なる趣を楽しむことができる。晴れの日には薄桃色の花色が青空に映える。
花の密集は青空とのコントラストも美しい
地元出身の釜石観光ガイド会員、三浦勉さん(69)は「高炉の石組みに使おうと割った岩の割れ目に種が入り、成長したのではないか」と推測。近くにはノミを入れた跡が残る花崗岩も見られる。桜が生える岩の表面はしっかりと根を張る様子が見られ、自然のたくましさを感じさせる。「今も成長し続けているようで、花の勢いも衰えない」と三浦さん。
斜面上側から見ると枝ぶりも違った表情に
この桜は岩手県内の桜の名木を紹介する書籍にも掲載される。同鉄鉱山インフォメーションセンターには他県の人からの問い合わせもあるという。スタッフは「手入れをしない自然の状態であれだけ育っている。目にした観光客も驚いて帰る」と話す。
青ノ木地区では自生や植樹で数種類の桜が育ち、これからの時期は濃桃色の花が魅力の八重桜の開花を迎える。
春の観光シーズンを前に、地元の橋野町振興協議会(和田松男会長)は4月25日、地域を走る県道釜石遠野線の清掃活動を行った。会が発足した1985年直後から30年以上続く活動。例年、春の大型連休前に行われている。
県道清掃に取り組んだ橋野町の住民ら(写真提供:橋野町振興協議会)
協議会を構成する8町内会から48人が参加。同町早栃から世界遺産がある青ノ木までの約13キロの区間で道路沿いのごみを拾い集めた。走行する車から投げ捨てられたと思われる空き缶・瓶・ペットボトルが多かったが、中には明らかに不法投棄されたごみも。タイヤは20本、他にもオイル缶や炊飯器などが見つかった。ごみ袋に回収された量は30袋分になった。
協議会では「橋野鉄鉱山など地元を訪れる観光客に気持ちよく来てほしい」と同活動を継続。地域内外の人たち一人一人の環境保全意識向上を願う。
釜石新聞NewS
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