浜千鳥(釜石)本県初の最優秀、「高品質の酒造りを今後も」と意欲〜地域性が表れた味を評価、東北清酒鑑評会純米酒の部


2020/11/26
復興釜石新聞アーカイブ #産業・経済

新里社長と奥村杜氏が賞状を受け、社員と共に栄誉を喜び合った

新里社長と奥村杜氏が賞状を受け、社員と共に栄誉を喜び合った

 

 仙台国税局(日置重人局長)の2020年度東北清酒鑑評会純米酒の部で、釜石市の浜千鳥(新里進社長)の「浜千鳥 純米大吟醸 結の香」が本県で初めて最優秀賞に輝いた。浜千鳥は吟醸酒の部でも優等賞を受けた。表彰式は12日、小川町の同社で行われ、仙台国税局課税第二部の後藤仁志部長が新里社長と杜氏・醸造部長の奥村康太郎さんに賞状を伝達した。同席した従業員も栄誉の喜びを分かち合った。

 

 後藤部長が局長の祝辞を代読し、「醸造技術の高さは、清酒の品質向上、輸出の振興につながる」とたたえた。

 

東北一の味と評価を受けた浜千鳥の製品

東北一の味と評価を受けた浜千鳥の製品

 

 新里社長は「これまでにない賞に驚き、うれしい。酵母の開発、酒米の栽培指導をしてくれた県工業技術センター醸造技術部、酒米を栽培してくださった生産者のおかげ」と感謝。「(新型コロナウイルス問題で)酒造りや飲食業は大変だが、地酒メーカーとして地域性を表し、品質の高い酒造りを続ける」と決意を述べた。

 

 同鑑評会には東北6県の清酒製造場147場(県内は5場)が純米酒の部に158点、吟醸酒の部に221点を出品した。審査は予審(一次)と決審(最終)の2段階に分け、決審は品質評価員19人で行われた。日本酒ジャーナリストのジョン・ゴントナーさん、南部杜氏のキャロン・サム・アンダーバーグさんも審査に加わった。

 

 「浜千鳥 純米大吟醸 結の香」は県内の最上級酒米「結の香」を原料に、県工業技術センターが開発した清酒酵母「ジョバンニの調べ」を使用して醸造。2014酒造年度から製造、販売する。

 

 最優秀賞の評でゴントナーさんは「甘味と豊かな味わいだが、しつこくない。現代と伝統の酒質の両方の良さを楽しめる」とコメント。アンダーバーグさんは「バナナと熟したイチゴの香り。やや軽快で、すっきりと後味がキレる」と高く評価した。日本の評価員代表は「芳醇(ほうじゅん)な果実酒。ジューシーな甘味が口中に広がった後、さわやかな酸味と、ややスパイシーな苦味が味に締まりを与え、絶妙なバランスは秀逸」と絶賛した。

 

 杜氏の奥村さん(39)は03年に入社。10年の南部杜氏選考試験を首席で合格し、12年10月、醸造部長に就任した。新酒の全国鑑評会では13年から19年まで延べ4回、金賞を受けている。「この鑑評会は新酒と違い、夏を越して秋の味を評価される。貯蔵管理技術も問われる。これは昨年度の結果であり、毎年異なる米と向き合う必要がある。味わいを柔らかくしてくれる水を大事に、より高い品質の酒造りを続ける」と意欲を示した。

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