ウニの風味を鍋料理に「うにしゃぶ」試作発表会〜ぜいたくしたい時にどうぞ、 麺や雑炊 締めのメニューも
かまいしDMCが麻生釜石工場の協力を得て開発した海の“味力”たっぷりの「うにしゃぶ」
釜石市のかまいしDMC(社長・野田武則市長)による試作品発表会は3月30日、魚河岸テラスで開かれた。観光資源の少ない冬期の名物に―と鍋料理に着目し、市内の食品加工会社と協力して開発。海の幸ウニを使った「うにしゃぶ」を市内飲食店や宿泊業関係者らに紹介した。
うにしゃぶは、貝だしにウニペーストなどを加え、生クリームで味を整えたスープに、白身魚や野菜を通して食べる。食材にスープのうまみが絡むコク深い味わいが特徴。麺や雑炊など締めのメニューで鍋をより一層楽しめる。
この日は、アイナメやエビ、ホタテなどの具材を用意。試食した甲子町の城守理佳子さん(26)、元釜援隊で盛岡市の佐野利恵さん(29)は「ウニを飲んでるみたい。ぜいたくしたい時にいい」と好感触だった。
釜石を含め三陸沿岸地域は海のレジャーを楽しむ観光客が多い夏場に比べ、冬場の客足は伸び悩み、対策が課題になっている。冬場の観光誘引を狙い、「地名から連想できる鍋料理をつくりたい」との発想が開発のきっかけとなった。
片岸町の麻生釜石工場が協力し、昨年10月から開始。ウニのシーズンは初夏から夏で、今回は県外産を主体に、殻から取り出す際に身の形が崩れたものなどを集めた。香ばしさを出すために身を火であぶるなど工夫。締め用にと、自社製品の山田産アカモク100%でつくった麺も提供する。
発表会の声も取り入れて改良を加え、5月の大型連休明けごろの販売開始を目指す。市内の飲食店などに卸し、各店舗でアレンジを加えてもらう。提供する店のマップづくり、のぼりの設置などの展開も計画する。
大町にある多田旅館の若旦那多田知貴さん(48)は「スープがおいしい。ウニの風味がしっかり出ている。具材の検討は必要だが、すごくいい。釜石の新鮮な食材を生かした面白い使い方ができる」と前向きにとらえた。
市の「ふるさと納税」返礼品としても取り扱われる。ウニのスープ、刺し身(時季により異なる)、アカモク麺がセット(2人分)。インターネット通販も視野に入れる。
かまいしDMCの河東英宜事業部長(52)は「通過ではなく滞在型観光につながるツールになれば」と期待。冬場を視点に開発したが、通年でウニを味わってもらえる要素もあり、新名物としてさらに磨きをかける考えだ。
(復興釜石新聞 2020年4月4日発行 第881号より)
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