今年も「サンタが100人やってきた」〜年の瀬の街にプレゼント、ストリートラグビーも楽しむ
今年も被災地に「夢」と「希望」を与えたボランティアサンタ
東日本大震災から9度目のクリスマスを前に、全国からボランティアサンタ約80人が釜石に集結。被災地支援を行う遠野市のNPO法人遠野まごころネット(佐藤正市理事長)が21日、恒例の「サンタが100人やってきた!」の活動を展開し、釜石、大槌両市町の子どもらにプレゼントを届けて交流した。
釜石市大町広場で開催した出発式で佐藤理事長は、活動を始めたきっかけを改めて紹介。被災した陸前高田市の女児が「(クリスマスに)何が欲しい?」との問いかけに「おうちとママ」と答えたという、あるブログが発端だったことを明かした。事業は企業、団体、個人からの寄付金で成り立っており、今年も式の中で協力企業が目録を贈呈した。寄付金はプレゼントの現地購入などに充てられ、地元経済支援にもつなげる。
2012年から協力を続けるイオングループは、各社の従業員らが寄せた募金など総額約110万円を寄付。サンタとして26人が現地活動にも尽力した。イオン九州の奥田佳奈さん(29)は釜石初訪問。「足を運べてありがたい。九州の元気、明るさを少しでも届けられたら」と願った。イオン九州は16年に発生した熊本地震の被災地で〝まごころサンタ〟活動も展開。「最も被害の大きかった益城町では間もなく仮設団地の集約が始まる。少しずつ復興が進んでいるよう」と両被災地の歩みを重ねた。
サンタは甲子町のこすもす公園、市球技場、大槌町のおしゃっちを訪問。約400個の菓子やミカンのプレゼントを子どもらに手渡し、遊びやサッカーで楽しい時間を共有した。
同NPOで初代理事長を務め、今年7月から4代目として再び指揮を取る佐藤正市さん(70)は「ボランティア自らが企画し事業化してきたことが9年も続いている。全国から駆け付けてくれる皆さんには感謝しかない。子どもたちが夢を見るお手伝いができたら」と思いを新たにした。野田武則市長は「10年目の来年は市も協力して何らかの盛り上げを図りたい」との意向を示した。
サンタもストリートラグビーでラグビーのまちを元気に!
この日はイオンタウン釜石の屋外スペースに設置されている専用フィールドで、関係機関が主催する「サンタとストリートラグビー体験会」も開かれた。〝100人サンタ〟とのコラボイベントで、ボランティアサンタも盛り上げに一役買った。
自前のひげを蓄え、100人サンタに8年連続参加の小林裕さん(68)=東京都中野区=は、ストリートラグビー初体験。「格好だけはつけて…」と見事なトライを決めた。ラグビーワールドカップはテレビで観戦。釜石鵜住居復興スタジアムには建設中の時に見に行った。「釜石がラグビーで元気になってきているのはいいこと。完成したスタジアムにも行ってみたい。復興が進むのを見るのはボランティアの楽しみでもある」と声を弾ませた。
(復興釜石新聞 2019年12月25日発行 第853号より)
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