復興象徴 スタジアム(釜石鵜住居)に歓喜〜激闘日本 フィジー に勝利、ワールドカップ本番を想像させる盛り上がり


2019/08/06
復興釜石新聞アーカイブ #スポーツ

日本−フィジーの激闘に沸く釜石鵜住居復興スタジアム

日本−フィジーの激闘に沸く釜石鵜住居復興スタジアム

 

 今秋のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の前哨戦と位置づけられるパシフィック・ネーションズカップ(PNC)の初戦、「日本―フィジー」戦が27日、釜石鵜住居復興スタジアムで行われ、日本が34―21で勝ち、W杯に向けて弾みをつけた。東日本大震災からの復興のシンボルとして、W杯の国内12会場でただ一つ新設された同スタジアムで行われた初の国際試合。スタンドは日本代表と同じ「桜のジャージー」を着たファンなど約1万3千人の観客で埋まり、奮闘する選手を応援する多くの小旗が揺れるなどW杯本番の盛り上がりを想像させた。

 

PNC 1万3千人が興奮

 

約1万3千人の観客が続々と入場

約1万3千人の観客が続々と入場

 

 日本ラグビーの聖地“釜石”での一戦。午後2時50分のキックオフを前に観戦客が続々と到着し、午後1時の段階で約5700人が入場。場内に出店した飲食や物販のブースには長い列ができ、各所で激しい混雑が続いた。

 

 この日の釜石市は午後に最高気温32・5度を記録。熱中症対策としてスタジアム内外に給水所も設けられたが、予想を超える酷暑で、後半は水が不足する事態もあった。

 

最高気温が32度を超え、水分を補給してから入場する観戦客

最高気温が32度を超え、水分を補給してから入場する観戦客

 

 試合が始まると、グラウンドを囲む本設と仮設のスタンドに陣取った客らは、両国選手の迫力の攻防に目がくぎ付けとなった。日本の得点チャンスの場面では「日本」コールや「押せ、押せ」などの掛け声が沸き起こり、フィジーの力強い突進には「おーっ」と驚きのうなり声が響いた。

 

 観戦客には来場時に大漁旗をイメージした赤い手旗を配布。日本がトライを決めると、ひときわ大きな歓声とともに翻った。

 

日本代表の勝利を喜ぶスタンドの観客

日本代表の勝利を喜ぶスタンドの観客

 

 東京都足立区の会社員駒田康孝さん(47)は日本の戦いに「予想通りの戦術できたなという感じ。自力も上がっている」とW杯にも期待。横浜市での2試合のチケットが取れているが、「できれば日本の試合を生で見たい」と最後の購入チャンスに望みをつないだ。

 

 大阪府摂津市から訪れた岡秀幸さん(58)、紀子さん(58)夫妻は「外観とは違い、中はすごくきれいな芝だし、お客さんもこんなに入っていてびっくり。何より日本が調子いいので…」と上機嫌。釜石での宿泊を望んだがかなわず、盛岡から会場直通のライナーバスを利用。「沿岸被災地の現状も見たかったので、ちょっと残念。これを機に、ラグビーだけでなくまた足を運べたら」と再訪を願った。

 

 震災の津波で釜石の自宅、職場が被災し、家族で長野県飯島町に移り住む遠藤光輝さん(41)は「W杯の日本開催でラグビーに興味が出てきた。立派なスタジアムで、選手たちのパワフルなプレーを見られて感動」と、チケットを用意してくれた義父に感謝。釜石が国際大会を開催できるまでになったことを喜び、「いろいろな人に釜石を知ってもらい、さらなる復興につながっていけば」と思いを込めた。

 

「ありがとーニッポン」。スタンドで小旗が揺れる

「ありがとーニッポン」。スタンドで小旗が揺れる

 

 甲子町の齊藤彰さん(69)は「W杯はチケットが取れなくて。PNCは発売と同時に申し込んだ。けっこういい席で、最高でしたね」と夫婦で満面の笑み。スタジアム建設中からこれまでに何度も現地に足を運んでおり、「まさか釜石でW杯ができるとは。大会誘致、スタジアム建設と、人間の力ってのは本当にすごいね」と感嘆の声を上げた。

 

 飲食ブースには、地元釜石の業者やキッチンカーなども出店した。NPOおはこざき市民会議は、浜の味「イカのポッポ焼き」を販売。鈴木匠事務局長は「食材の事前加熱など調理法の規制もあるので、W杯本番に向け見えた課題を検討したい。地元として何とか盛り上げたいという思いがある」と話した。

 

(復興釜石新聞 2019年7月31日発行 第812号より)

 

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