三陸防災復興プロジェクト開幕〜被災地再生 世界に発信、沿岸13市町村で8月7日まで
開幕セレモニーに続いて行われたパネル討論
東日本大震災の教訓を伝え、本県の復興の現状を発信する「三陸防災復興プロジェクト」が1日から開幕、オープニングセレモニーが釜石市大町の市民ホールTETTOで行われた。同プロジェクトは8月7日までの68日間にわたり、沿岸部13市町村を会場に防災に関するシンポジウムや展示会、コンサートなど22事業を展開。ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催などで三陸地域が世界から注目を集める中、復興に向けて力強く取り組んでいる地域の姿、多様な文化や魅力を広く発信する。
オープニングセレモニーには、一般、関係者ら約700人が出席。実行委員長の達増拓也知事が「このプロジェクトを通じ、復興に取り組みながら、互いに幸福を守り育てる希望郷実現の一歩にしよう」と開幕を宣言した。
開幕セレモニーの司会を務め、「震災の風化防止へ、手に手を取り合おう」と呼び掛ける陸前高田市出身の俳優村上弘明さん(右)
国連防災機関駐日事務所の松岡由季代表は、震災が国際的な防災議論に与えた影響を説明。「東北のみなさんの経験は世界の防災・減災につながる。これを国際社会で共有し、意識啓発に役立てたい」と思いを述べた。
米国大使館ジョセフ・ヤング主席公使は、「トモダチ作戦」として自身が関わった震災後の救援活動や、被災地の高校生が米国留学するなどの研修プログラムに触れ、「留学を経験した若者が誇りと志を持って生き生きと活躍している。今後も日米の防災協力に期待する」とスピーチした。
同研修プログラムへの参加をきっかけに宮古市でNPO法人を立ち上げ活動する吉浜知輝さんが、復興への取り組みを報告。復興支援で岩手とのつながりが深いシンガー・ソングライター八神純子さんのライブもあった。
八神さんは、大槌町の子どもたちとの交流から生まれた「かれ木に花を咲かせましょう」など7曲を披露。「声の続く限り、みなさんと一緒に歌い、歩んでいきたい」と呼び掛けた。
三陸復興へ歌声でエールを送る八神さん
続いて行われたシンポジウムでは、台湾・長栄大学の邵珮君教授が基調講演したあと、「災害に強い地域づくり」をテーマにパネル討論。「自助、共助、公助の連携、地域の総合防災力を高めることが、これからの災害に強い地域づくりに不可欠」との指摘もあった。
市民ホールの周辺では「防災復興展示会」が開かれ、防災士による講座、応急手当て体験などが行われた。
2日は、「災害看護・災害時の公衆衛生」をテーマに分科会が同ホールで開かれたほか、鵜住居公民館では「いわての復興教育」をテーマにパネル討論が行われた。
(復興釜石新聞 2019年6月5日発行 第796号より)
三陸防災復興プロジェクト2019公式ホームページ
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