舞踊の祭典 新ホール彩る、市内外からほぼ満席に〜令和のスタート、華やかに盛り上げ
「令和」への希望を込め、にぎやかな手踊りで締めたフィナーレ
釜石市内の舞踊6団体が出演する「舞踊の祭典」が19日、市民ホールTETTOで開かれた。東日本大震災の津波で旧市民文化会館を失った同市で大規模な舞踊の会が開かれるのは、被災後初めて。会場のホールA(838席)は、市内外から詰めかけた観客でほぼ満席状態となり、令和元年のスタートを華やかに盛り上げる32の演目に盛んな拍手が送られた。
音羽会(及川光会主)、古川舞踊教室(古川明美会主)、平稀流糸扇会(麓糸子会主)、出雲流松栄会(三浦すみゑ会主)、天童流美輝優会(小笠原ちゑ子会主)、高雅会(高橋文子会主)から総勢約30人が出演した。
1部は、及川会主が1987年に発表した創作神楽「忍龍の舞」を当時の映像で披露。悪化する地球環境の現状に警鐘を鳴らす舞台が30余年の時を経て再現された。古川会主が、古くから伝わる舞台清めの祝儀の舞「寿三番叟」を披露。豊年満作の祈りも込められた伝統の舞で1部を締めくくった。
熟練の舞で客席を沸かせた音羽会及川会主の「天竜三度笠」
2部は各会の会主、会員と特別出演の鼓乃美流、さんさ鼓乃美会主によるステージ。高校生から80代まで幅広い年代の踊り手が多彩なジャンルの舞で観客を魅了した。股旅、マドロス舞踊では、客席から掛け声も。この日を待ちわびていた観客は目を輝かせながら舞台に見入り、楽しい時間を満喫した。
さまざまな演目を楽しみ、大満足の観客ら
大槌町から足を運んだ田代勝行さん(73)は「みんな上手。見ている方も心が躍った。元気になれる舞台はいいね」と大喜び。妻の正子さん(72)は「震災の悲しみを吹き飛ばすよう。ここまで復興してきたと思うと感動です。こういう催しがいっぱいあるといい」と声を弾ませた。
同祭典は及川会主の呼び掛けで実現。「津波犠牲者を追悼しながら、自分たちも心の支えになればと企画した。満席の観客に感謝とうれしさでいっぱい。世代交代を図りながら、今後は若い人たちに頑張ってもらいたい」と及川会主(85)。釜石の舞踊のさらなる発展に期待を込めた。
(復興釜石新聞 2019年5月22日発行 第792号より)
令和元年 舞踊の祭典 | 釜石市民ホール公式サイト
復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)
復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3