アクセス向上 大型連休に釜石へ〜釜石駅前で「春まつり」、ラグビーW杯 相乗効果に期待
ホタテ釣りに笑顔を広げる家族ら
新天皇陛下の即位と「令和」への改元に伴い、最大10日の大型連休となった今年のゴールデンウイーク。東北横断道、三陸沿岸道、三陸鉄道リアス線開通でアクセスが飛躍的に向上した釜石市には、県内外から大勢の観光客や帰省客が訪れた。市内の観光スポットやイベント会場、ラグビーワールドカップ(W杯)が開催される釜石鵜住居復興スタジアムなど各所で、県外ナンバーの車両が目立ち、交通網の整備効果を実感させた。期間中は晴天が多く、後半は気温も上昇。初夏を思わせる陽気の中、海や山の自然を満喫する光景も見られた。
鈴子町の釜石駅前広場では4、5の両日、「かまいし春まつり」が開かれた。一般社団法人釜石観光物産協会(澤田政男会長)が主催。海山の幸や今秋のラグビーW杯をアピールし、まちの魅力を発信。観光客をおもてなしの心で迎えた。
いよいよ今秋に迫ったラグビーW杯をPRするブース
同広場とサン・フィッシュ釜石屋外スペースに15業者が出店。橋野どんぐり広場はタラノメやシドケなど旬の山菜や菓子類、釜石湾漁協はホタテマリネ、メカブ山海漬を販売し、地元ならではの味をPRした。
両日とも200食限定で、鈴子町内会女性部が調理したサケのつみれ汁を無料お振る舞い。4日は午前11時の開始を前に約70人が列を作り、45分ほどで大鍋が空になった。
人気を集めたのは、ホタテ釣り(1回500円)とアワビ捕り(同千円)の体験。ホタテは針金の釣り針を貝の口にかませて釣り上げる。アワビは箱眼鏡も使い、棒の先端に付いた金属かぎでひっかけて捕る。子どもから大人まで夢中になり、水槽から上げると歓声が沸いた。ホタテは200枚、アワビは100個用意された。体験後はその場で焼いて食べることも可能。箱崎白浜産のホタテは大人の手のひらサイズで、殻を取ると大きな身が姿を現し、食欲をそそった。
仙台市の会社員宇治克俊さん(27)は「ホタテがなかなか掛かってくれなくて。水揚げしたては普段食べる機会がない」と箸を進めた。2日から三陸道を北上し岩手へ。龍泉洞(岩泉町)や浄土ケ浜(宮古市)を巡り来釜した。「未開通部分のインターの渋滞が激しかった。全線開通すれば、スイスイ行くんでしょうけど。釜石はきれいな建物、店も多く、復興が進んでいるイメージ」と話した。
埼玉県蓮田市の松尾まどかさん(39)は夫、子どもと家族5人で、4月30日から大町の実家に帰省。4日、同イベントを楽しんだ。「休みが長いと帰ってこようと思いますよね。ゆっくりできた」とエネルギーを充電。津波で被災した店舗兼住宅は修復し、母が一人で暮らす。「明日は母を連れて花巻温泉に一泊して帰ります」とほほ笑んだ。
釜石観光ガイド会は4月29日から5月6日まで、駅前の観光総合案内所発で「街なかガイド」を実施。利用客の要望に応じ、震災や製鉄、まちの歴史などの話をし、おもてなしに一役買った。
澤田会長は「今年は秋の味覚まつり、釜石まつりがラグビーW杯の時期と重なる。相乗効果を生み、盛り上がりを来年以降につなげられるよう、力を尽くしていきたい」と気を引き締めた。
(復興釜石新聞 2019年5月8日発行 第788号より)
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