復興望む新たなスポットに〜魚河岸テラス開館、餅まきで完成祝う
釜石の魅力を発信する新スポット「魚河岸テラス」
釜石市が整備を進めてきた釜石魚河岸にぎわい館「魚河岸テラス」が完成し、13日、現地で竣(しゅん)工式が行われた。地元の食材を生かした飲食店のほか、郷土芸能虎舞などの紹介スペース、キッチンスタジオなども整備。東日本大震災からの復興を目指すまちの新たな名所として「魚のまち釜石」を発信する。
市が中心市街地・東部地区の復興に向けて進めるフロントプロジェクトの一つ。釜石港に面する魚河岸地区の敷地面積3871平方メートルの市有地に整備された。鉄骨造り2階建て、延べ床面積は1227平方メートル。1階にキッチンスタジオや会議室、物販、虎舞や地元で採れる魚の展示コーナーを配置。2階には飲食店4店舗が入居し、海を眺めながら食事が楽しめる。
花火や曳(ひ)き船まつりを観覧できるテラス、朝市やイベントで活用できる広場も整備。事業費は約5億円で、復興交付金や過疎債を活用した。
愛称「魚河岸テラス」は公募で決定。釜石出身で東京都在住の50代女性が「笑顔を絶やさない明るいテラスに。港とまちを結び付ける施設になってほしい」などの願いを込めて命名した。
式には関係者ら約50人が出席した。野田武則市長は「まちの持つ力を発揮する拠点施設として整備。海を見ながら食事をできる場がやっと実現した。多くの人に愛され、親しまれ、末永く大事にされる施設になれば」とあいさつ。テープカットの後、尾崎青友会による虎舞、餅まきで完成を祝った。
テープカットで施設の完成を祝う関係者
オープンすると、待ち構えた多くの人が建物内へ。釜石自動車道で花巻市から足を運んだ小瀬川正さん(76)は土産物を購入し、催しの毛ガニ釣りに挑戦、2匹を釣り上げた。「教員として赴任したこともあり、釜石には親しみがある。小規模だが、観光客が来れば復興のプラスになるだろう。カニも手に入り、いい思い出に。家に帰ってお酒飲みたいね」と喜んだ。
オープンを活気づける餅まきに歓声を上げる市民ら
嬉石町に自宅を再建した佐々木ミキさん(84)と大町復興住宅で暮らす山崎タイ子さん(77)は、仮設住宅生活で深めた親交を維持。人の多さに食事は諦めたが、「誘い合ってまた来ようね」と約束した。
1階にはJFマリンバンクいわて県信漁連釜石大槌支店も入居。5月13日のオープンを予定する。
(復興釜石新聞 2019年4月17日発行 第783号より)
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