NHK「ゆく年くる年」生中継、釜石復興 全国発信〜鵜住神社 震災以降最多の初詣客
テレビ中継も入り、にぎやかな年越しとなった鵜住神社
2019年、ラグビーワールドカップ(W杯)の開催、三陸鉄道リアス線、東北横断道釜石―花巻間全線開通など、震災復興の完遂へ重要な局面を迎える釜石市。輝く未来への第一歩となる新年の幕明けに、まちは大きな期待感に包まれた。正月3が日の市内は天候にも恵まれ、初詣や初売りなどに出かける人の動きも活発化。各所でにぎわいが続いた。
大みそか深夜、鵜住居町の鵜住神社(花輪宗嗣宮司)には、震災以降最多の初詣客が訪れた。この日は、午後11時45分から放送のNHKの年越し番組「ゆく年くる年」で、同神社と釜石鵜住居復興スタジアムからの生中継があり、新年初の舞を奉納する鵜住居虎舞の様子が全国放映された。放送では、被災から立ち上がってきた同虎舞の歩みや神社周辺の復興状況などが伝えられた。
放送を目当てに集まった地元住民らで境内は大にぎわい。中継が終わると、本殿の前に参拝客の列が連なった。参道では、神社総代会が準備した肉汁や甘酒が振る舞われ、新年のあいさつを交わす家族連れらが笑顔を広げた。
大勢の参拝客が並んだ境内=午前0時20分ごろ
同町川目の小澤修さん(69)は、帰省した娘家族ら親族11人でお参り。「昨年は病気をしたが、今年はきちっと治して健康に過ごせれば」と願い、ラグビーW杯や三鉄開通で変わる鵜住居駅周辺を中心としたまちの再興に期待を込めた。
鵜住居地区復興まちづくり協議会の会長代行を務める佐々木憲一郎さん(51)は「宅地の引き渡しもほぼ終わり、今年は“個々の復興”がキーワード。自宅再建が進み、駅前の祈りのパークが完成したら、まち開きも考えていきたい」とし、次のステップへの移行を見据えた。
同虎舞を伝承する鵜住居青年会の小原正人会長(31)は「W杯というめでたいことで、小さな町が全国的に注目されるのはうれしい」と番組出演を喜び、「先輩たちがつなぎ、震災に負けることなく残った虎舞。これからも絶やすことなく伝え、住民に元気を与えられれば」と思いを新たにした。
同神社は一昨年までに、被災したみこしや鳥居の再建を完了。昨年末には神社周辺の宅地造成や道路整備も終わり、一般家屋の新築工事が進む。花輪宮司は「家も建ち始め、復興への道のりもあと少し。神社は神様と氏子がいて成り立つもの。住民が戻り、鵜住居全体が落ち着いた時こそが、神社全ての復興と言えるのではないか」と話し、まちの未来へ希望を託した。
(復興釜石新聞 2019年1月5日発行 第754号より)
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