大石地域センター ホール増築、完成祝う〜住民交流、避難の拠点に
拡充され集会機能が向上したホール(右半分)
釜石市唐丹町の大石地域交流センターの集会室が増築を終え、18日に現地で完成式が行われた。同センターは、東日本大震災で住民の避難所となったが手狭だった。今回の増築工事では、多目的ホールをほぼ2倍の広さに拡充。住民が十分に避難できるスペースを確保した。
大石地区には現在34世帯が住む。高台にある大石小は2001年3月に閉校、唐丹小と統合された。2年後、市は跡地に同センターを建設。幅広く活用する社会教育施設に位置づけた。
木造平屋建ての同センターは延べ床面積122平方メートル。トイレ、シャワー室、更衣室、調理室があり、増築工事では多目的ホール(約40平方メートル)を拡充。車いすでホールに入る外付けのコンクリートスロープも新設した。事業費1千万円は、健康食品通販業「毎日元気」(本社東京都、瀧澤潤賜=じゅんよう=社長)が寄付した。
完成式には瀧澤社長(43)、野田武則市長、大石町内会の畠山一信会長らが出席。神事で施設と住民の安全を祈願し、完成を祝った。野田市長が瀧澤社長に感謝状を贈った。
市長から感謝状を受けた瀧澤社長(中央左)
2007年に設立した毎日元気は、サケの白子(精巣)や脳下垂体から抽出した物質をベースとする健康食品の生産、販売を主力に事業展開。現在は釜石市を中心に大船渡市、大槌町、宮古市から原料を調達する。
東日本大震災では釜石市の保冷倉庫に保管した原料、製造委託工場を失ったが、三陸沿岸の漁業関係者の協力で原料を確保、事業を復旧、継続した。瀧澤社長は11年以降、釜石市など関係自治体に多額の支援金を贈り続けている。
震災で大石に犠牲者はなかったが、集会施設となっていた林業センターが津波で流失。交流センター、地区コミュニティ消防センターが避難所となったが、いずれも狭かった。
畠山会長(69)は「十分な暖房もなく、車中泊するお年寄りもいて、大半は津波を免れて残った自宅に戻った」と振り返った。
完成式で野田武則市長のあいさつを受け、瀧澤社長は「数年前から、原料は唐丹町漁協をメーンに提供を受けている。大石にも来ている。12年間、事業を続けることができたのもみなさんのおかげ。ささやかな恩返しのつもりだ。地域のために役立ち、楽しいことに使ってほしい」と期待した。
大石小の跡地には戸建ての復興住宅3棟もある。畠山会長は「避難所ばかりでなく、集会や郷土芸能の練習もできる。夏の海浜学校で来る子どもたちにも喜ばれるだろう」と思いを膨らませた。
(復興釜石新聞 2017年12月23日発行 第650号より)
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