就業体験で味噌醤油 需要調査〜女学生が藤勇醸造で、商品売り込みにも挑戦


2017/09/15
復興釜石新聞アーカイブ #産業・経済

 買い物客に商品をPRする学生インターン

買い物客に商品をPRする学生インターン

 

 釜石市大渡町のみそ、しょうゆ製造販売業、藤勇醸造(藤井徳之社長)は3日、学生インターンによる店頭販売を港町のイオンタウン釜石で行った。県内の民間企業で学生が就業体験を行う「IWATE実践型インターンシップ」(NPO法人wiz主催)の一環で、受け入れ先となった同社が学生に託したミッションは「老舗醸造会社のマーケティング」。これに応え、2人の学生が買い物客にアンケート調査を行いながら同社の商品を売り込んだ。

 

 同社でのインターンシップに参加するのは、一橋大社会学部2年の佐藤冬佳さん(北海道札幌市出身)と立教大経営学部1年の宮﨑まはるさん(愛媛県松山市出身)。8月中旬から1カ月間釜石に滞在し、市内飲食店へのしょうゆ・みその使用状況調査や販促活動に取り組んでいる。

 

 店頭販売はこの日で3回目。同社が8月から発売を始めた「本醸造かけしょうゆ」(210ミリリットル)を紹介しながら買い物客に積極的に声を掛け、普段使っているしょうゆのボトルサイズや商品を選ぶ基準などを聞き取った。

 

 宮﨑さんは普段学んでいることに生かせると参加。「地域の生の声を聞けるので楽しい。消費者の顔が見える仕事もいいなと実感。こうしたコミュニケーションは将来、働いた時にきっと役立つ。人を幸せにする仕事に就きたい」と職業観を広げた。

 

 店頭での調査は今回で一段落。今後は消費者を招いた座談会を企画中で、佐藤さんは「立案、進行など全てを任せてもらい、実践できるチャンス。学生インターンならではの視点と切り口で関わった結果を資料としてしっかり残したい」と意気込んだ。

 

 創業115年になる同社では震災以降、創業当初からのロングセラー商品を消費者ニーズや健康志向に配慮して販売手法を変えたり、「十割糀(こうじ)みそ」「しょうゆ糀」など新たな発酵食品やスイーツなど商品開発に力を入れている。こうした攻めの取り組みの根底にあるのは「しょうゆ・みそ市場の縮小や発酵食文化の衰退への懸念などの危機感だ」と小山和宏専務。今回初めて学生インターンを受け入れ、初となるマーケティングを行っているところだが、手応えを感じた様子。「聞き取った一言一言が参考になる。データとしてまとめ報告してもらうことで、商品開発につながるヒントをもらえれば」と期待している。

 

 学生2人が企画する座談会「藤勇ティータイム」は9月12日午後3時から大町の小島カフェで開催。オリジナル発酵食などを提供することにしており、現在参加者を募っている。参加費は無料。問い合わせ、参加申し込みは藤勇醸造(電話0193・22・4177)へ。

 

(復興釜石新聞 2017年9月9日発行 第619号より)

 

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