世界遺産で釜石と縁、手作りベンチ贈る〜静岡・伊豆の国市建設業協会、県営平田復興住宅へ
平田災害公営住宅にベンチを贈った伊豆の国市建設業協会「若手の会」会員と住民
静岡県の伊豆の国市建設業協会(土屋龍太郎会長、40社)の若手事業者らが10日、釜石市の県営平田災害復興公営住宅(126戸)を訪れ、手作りの木製ベンチ1台を寄贈した。一行を迎えた同団地自治会の小林徳夫会長ら住民は、頑丈で立派なベンチに感謝した。
同協会「若手の会」の遠藤浩明代表幹事、事務局の土屋昭さんら10人が訪れ、県建設業協会釜石支部の青木健一理事が同行。沿岸広域振興局土木部復興まちづくり課の及川郷一課長、静岡県からの派遣職員植田勝久総括主査が立ち会った。
集会所で行われた贈呈式で、遠藤代表は「みなさんは大変な思いをされたでしょう。暑い日は、このベンチに座り一息ついてください」とあいさつ。子どもが3人掛けできるサイズに小林会長は「人が集まる機会はまだ少なく、高齢者が多い。ベンチはありがたい」と感謝した。
伊豆の国市の一行は9日から2泊3日の予定で震災の被災3県を視察。この日は世界遺産の橋野鉄鉱山まで足を延ばした。伊豆の国市にも世界遺産「明治日本の産業革命遺産」を構成する資産の一つ「韮山反射炉」があるからだ。釜石産鉄鉱石で生産した「南部産銑鉄」を使った西洋式大砲(18ポンドカノン砲)も鋳造した。それが同反射炉最後の試作品で、幕府に納入された深い縁がある。
同協会は3年前に釜石を訪れ、東海地方でも懸念される大地震と津波、土砂災害などの備えに役立てている。
ベンチの寄贈は伊豆の国市建設業協会の会員事業所が始め、「ベンチがあると人が集まり、コミュニティーづくりの場になる」と評判になり、昨年9月、協会事業に採用した。同市内ではこれまでに店舗や福祉施設に13台を贈った。
土屋さんによると、ベンチは協会への要望を受けて対応。現地に出向いて使用法、サイズ、台数を検討し、製作を引き受ける会員が手を上げるシステム。材料は「廃材」というが、プロの手でデザイン、組み立て、塗装されると、立派なベンチに姿を変える。
一行は釜石市から南下しながら復興状況を視察。11日には宮城県多賀城市の市営復興住宅にもベンチを贈った。
(復興釜石新聞 2017年7月15日発行 第605号より)
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