旧国立競技場の座席をリレー、五輪遺産をラグビーW杯に〜北上市が釜石にエール、両市民ら17人 90キロをつなぐ
旧国立競技場の座席を背負ってゴールした北上市の高橋市長を釜石市の野田市長が迎える=5月31日午後5時53分、鈴子町のシープラザ釜石前
2019年にラグビーワールドカップ(W杯)が開催される釜石市に5月31日、旧国立競技場(東京都新宿区)の座席が北上市からリレーマラソンで届けられた。この座席は建設中の釜石鵜住居復興スタジアム(仮称)の客席最前列に設置される予定で、国立競技場、岩手国体のレガシー(遺産)を受け継ぎ、ラグビーW杯の成功に向けて機運を高める。
北上市は、3年前に解体された旧国立競技場の座席6500席を譲り受け、このうち6千席を昨年の岩手国体の主会場となった北上陸上競技場に設置。予備として保管していた座席のうち300席を釜石市が譲り受け、鵜住居スタジアムで活用することになった。
リレーマラソンはチャレンジデー北上イベントの一つとして企画された。午前8時、第一走者のマラソン五輪メダリスト有森裕子さんが座席を背負い、「皆さんの思いを背負って走ります」と宣言して出発。釜石まで約90キロの道のりを北上、釜石両市民ら17人がリレーでつないだ。
午後6時前、最終ランナーとなった高橋敏彦市長が、釜石シーウェイブス(SW)RFCの桜庭吉彦ゼネラルマネジャーや新日鉄釜石ラグビー部日本一V7メンバーの千田美智仁さん(北上市ラグビー協会会長)と共にシープラザ釜石にゴール。野田武則釜石市長に手渡された。
野田市長が持つ座席にはリッチ—・マコウさんのサインが
この座席には、先月27日に釜石を訪れたラグビー元ニュージーランド代表主将リッチー・マコウさん(36)のサインが入っている。高橋市長は「多くのスポーツマンの熱い思いが込もっている。ラグビーW杯の盛り上げにつながるのではないか。共に頑張ろう」とエール。野田市長は「国立競技場、岩手国体のレガシーが加わった。北上市民の熱い思いに応えたい」と感謝した。
V7時代の赤いジャージーを着て臨んだ千田さんは「釜石のV7を見届けた、あの座席と思うと感慨深い」、桜庭さんは「これからの釜石のレガシーに生かしたい」と決意を込めた。
(復興釜石新聞 2017年6月3日発行 第593号より)
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