「海の復興」明るく照らす~被災の赤灯台を再建、釜石湾口・北防波堤に据え付け
釜石港湾口防波堤の北堤先端部に再建された赤灯台=22日午前
東日本大震災で倒壊した釜石港湾口北防波堤灯台(赤灯台)が22日、再び姿を現した。国土交通省が進める同防波堤復旧事業の一環で再建され、灯台本体の据え付け工事が行われた。赤灯台への切り替え、再稼働は新年1月中旬を見込む。赤い円柱形の大きな灯台は陸上からも遠望され、海の復興の一つを物語る。
釜石港湾口防波堤北堤(延長990メートル)の赤灯台は2003年1月に点灯を開始し、釜石海上保安部が管理してきた。8年後の震災で基盤のケーソンとともに倒壊。海上保安庁は航路の安全確保のため灯浮標を設置した。
本年度復旧事業の工期は昨年6月から来年1月末まで。ケーソン8基の設置、上部工など関連工事を五洋・徳倉JV(特定建設工事共同企業体)が約20億円で請け負い、その一環で灯台の再建が進められている。灯台本体の製作は平田港の作業ヤードで行われた。
22日早朝、真紅のタイル模様で覆われた約150トンの灯台本体は巨大クレーンを持つ台船に積み込まれ、約3キロ離れた北堤の基礎部に設置された。
灯台の色は国際法で統一され、赤色は入港する船舶の「右」、白色は「左」を意味する。今回設置された灯台本体の高さは約15メートル、直径2メートル。ケーソン、台座などを加え平均水面から頂上部までは約23メートルになる。南堤に設置される白灯台より赤灯台が大きいことについて、釜石海上保安部の職員は「北堤先端部の方が強い波を受ける。激浪を避けて発光体を高い位置に上げ、支えるには一定の強度が必要」と説明する。
東北地方を管轄する第二管区海上保安本部(塩釜市)は震災で、太平洋岸の灯台251基のうち129基、釜石海保管内では69基のうち46基が被災したが、これまで38基を本復旧させた。相馬雅・交通課長は「(赤灯台の)本復旧まで、徐々に増え続ける海上交通に支障を生じさせなかったことがうれしい」と語った。
灯台の切り替え工事には、稼働中の灯浮標4基などの撤去が伴う。湾口の通航帯は現在、250メートルだが、防波堤上の固定灯台に移行すると、震災前の300メートルに戻る。
(復興釜石新聞 2016年12月28日発行 第550号より)
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