生産と消費の接点が再生のカギに〜三陸水産業の未来を考える シンポジウム

2016/02/03|カテゴリー:復興釜石新聞 産業・経済

「三陸水産業の未来を考える」をテーマにパネル討論を繰り広げる漁業者や研究者ら

「三陸水産業の未来を考える」をテーマにパネル討論を繰り広げる漁業者や研究者ら

 

 漁業者や水産業者、研究者、行政関係者が幅広い視点から三陸水産業の可能性と未来を探るシンポジウムが27日、釜石市の情報交流センター釜石PITで開かれた。キッチンカーや里海プロジェクトを推進する釜石プラットフォーム(三塚浩之代表取締役)が復興庁「新しい東北」先導モデル事業として企画し、約50人が参加。東京海洋大准教授の勝川俊雄さんが基調講演したあと、地元でカキ養殖に取り組む漁業者らが加わりパネル討論で意見を交換した。

 

 勝川さんは東大卒で、三重大准教授を経て昨年から現職。専門は資源管理で、日本の漁業を持続可能な産業にするために積極的な発言を続けている。

 

 今回の講演では、漁業者の高齢化、右肩下がりの漁獲量や魚価で危機に立たされている日本の水産業の現状を説明し、「少し残して高く売る漁業への転換が課題となるが、ブランド化がなかなか難しい中で、生産者と消費者が直接触れ合うことが新しい価値を生み出す」と強調。その接点の一つとして、釜石の箱崎漁港で行われている「桜牡蠣」養殖事業を例に挙げ、「東京の居酒屋などで直接販売する手法は消費者を”ここだけ” “今だけ”の格別感にさせ、漁業者のやりがいや誇りにもつながる。生産と消費の場が近くにある釜石は、新しい形の漁業の適地ではないか」と大きな可能性を示した。

 

 パネル討論には、桜牡蠣の養殖に取り組む佐々木健一さん(釜石東部漁協牡蠣部会長)も加わり、「出前漁師として東京でカキを販売したときは大きな手ごたえがあった。今後は漁師が安定した生活ができるようにもっていきたい」などと話した。

 

 大船渡市三陸町吉浜で若手漁業者による「元気組」を立ち上げ活動している千葉豪さんは、震災後に行った被災地観光研修ツアーや地域の子どもたちを対象にした漁業体験などを例に挙げ、「必要なのは、漁業や地域への誇り。産地間競争は厳しいものがあるが、仲間と生産向上に励みたい」と意欲を語った。

 

 釜石を拠点に研修ツーリズム事業に取り組む戸塚絵梨子さん(パソナ東北創生社長)は「課題は都会から遠いことやお金がかかることだが、まずは体験してもらうことが大切」と指摘。

 

 「釜援隊」のプロデュースなどを手掛けた石井重成さん(釜石市まち・ひと・しごと創生室長)は「現実的に人口増は難しい中で、釜石とかかわる人たちを〝つながり人口〟として増やし、消費者として取り込んでいくことが重要」と指摘した。

 

 パネル討論の進行役は、釜石プラットフォームの活動を支援する枝見太朗さん(釜石市復興アドバイザー、富士福祉事業団理事長)が務めた。

 

(復興釜石新聞 2016年1月30日発行 第457号より)

三陸水産業の未来を考える オープンシティ釜石のチャレンジ
 

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