よみがえる鵜住居の記憶、みらいシアター〜昭和期の映像、写真公開 震災前のまち並み復元模型も

2017/02/07|カテゴリー:復興釜石新聞 地域

鵜住居の懐かしい映像を楽しんだ上映会

鵜住居の懐かしい映像を楽しんだ上映会

 

 震災前のまちの風景や記憶を呼び覚まし、復興まちづくりの糧とする「鵜住居みらいシアター」(同実行委主催)が1月29日、釜石市の鵜住居公民館で開かれた。昭和期の映像や写真、被災前のまち並みの復元模型が公開され、地元住民ら約100人が古里再興に思いを熱くした。

 

地域住民 再興への思い熱く

 

 震災の津波で甚大な被害を受けた鵜住居町は昨年12月、町中心部に復興住宅が完成し住民の帰還が始まった。同住宅の隣に整備された生活応援センターと公民館は23日から業務を開始。同シアターは新しい公民館の初イベントとなった。

 

 会場には、神戸大の学生らが鵜住居、片岸町のまち並みを復元し地元住民らが思い出を書き入れた500分の1の縮尺模型が展示された。来場者は被災前の自宅を探したり、忘れかけていた建物の並びを思い出したりし、生活の記憶をよみがえらせた。

 

模型を見ながら震災前のまちに思いをはせる人たち

模型を見ながら震災前のまちに思いをはせる人たち

 

 昭和の写真は、地元住民や市郷土資料館から借用した11点。被災した防災センターの場所にあった鵜住居小、釜石東中の前身・鵜住居中(現在の日向グラウンド付近)の両空撮写真、戦中の「愛国婦人会」の集合写真などに加え、合併前の鵜住居村消防団のはんてんも展示された。

 

 仮設住宅に暮らす高橋正さん(55)は鵜住居小の2階建て校舎を指差し、「6年時の教室はこの辺。ソフトボールで先生が打った球が教室の窓ガラスに命中し割れた」と懐かしい思い出に目を細めた。震災前の自宅は町内のJR山田線沿い。「写真は全部流されてしまった。津波にはかなわないね。土地は残ったので家を建てようと思う」と高橋さん。

 

 映像は1970(昭和45)年の岩手国体、75(同50)年の鵜住神社例大祭、79(同54)年の鵜住居小創立100周年記念運動会などが上映された。鵜住居の映像は地元住民が撮影したもので、提供を受けたNPO法人20世紀アーカイブ仙台の坂本英紀理事長が住民の記憶を引き出しながら、思い出を語り合う場とした。

 

運動会や祭りの映像を見て古里の思い出を共有する地域住民ら

運動会や祭りの映像を見て古里の思い出を共有する地域住民ら

 

 会場からは「あれは○○(名前)だ。若いな」「ここは駅前通り。○○店が見える」などさまざまな声が飛び交い、映像に自分の姿を見つけた人もいた。大勢の住民が参加した祭り行列、地区ごとに趣向を凝らし盛り上げた運動会。時代を感じさせる映像に来場者は見入り、まちの歴史の1ページを脳裏に刻んだ。

 

 運動会で地区の仮装行列の衣装準備に奔走したという桐山良子さん(79)は「かつらは手作り。昔の着物や羽織、帽子などを各家庭から出してもらい、みんなで工夫した」と話し、「今、まちには何もないので、映像で多くの人、家、商店を目にして涙が出た。これからの復興で店や憩いの場ができてくれるといい」と願った。

 

 鵜住居地区復興まちづくり協議会の佐々木憲一郎会長代行は「間もなく新しい小・中学校も完成する。映像にあったような地域とのつながりを大切にする学校運営を望む。懐かしい景色は戻らないが、住民はまだまだ元気。新しい鵜住居を次の世代に伝えていけるよう頑張っていこう」と呼び掛けた。

 

(復興釜石新聞 2017年2月1日発行 第559号より)

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