釜石小学校6年生が新巻鮭づくりに挑戦! 〜次世代に引き継ぐさかなのまち文化〜
先生から教わりながら新巻鮭づくりに挑戦する児童
みなさん、はじめまして。今日から不定期で活動内容を紹介する「魚援隊(ぎょえんたい)」です。
魚援隊は、釜石市のさかなのまち事業として、市内水産会社等の有志でつくられた団体で、昨年から活動をスタートしています。
主な活動としては、定置船の水揚げや魚市場見学を通して海に関わる職業を知り、魚に触れてその魅力を知るイベントの開催や、釜石で取れた海の食材を使った学校給食を通しての食育を実施しています。
特に子どもたちには魚を身近に感じてもらい、釜石の海や魚に親しみをもってもらうことを目標としています。キーワードは「食・職・触」です。
第1回目となる今回は11月28日(火)に釜石小学校の児童を対象に実施した「新巻鮭づくり体験」の様子をレポートします!
今回新巻鮭づくりに挑戦したのは、釜石小学校の6年生の児童19名です。
水産技術センターに集合した釜石小学校6年生
もちろん、どの児童も新巻鮭を作ったことはなく、サケに触れるのも初めてでした。今回も昨年に引き続き、新巻鮭つくりの先生として魚援隊の平野会長にお願いしました。
まず始めに、平野会長から児童の皆さんに釜石のサケについてお話をしました。
岩手県は、北海道に次いでサケの水揚げ量が多く、釜石は県内でもサケ漁が特に盛んな地域です。
平成25年には年間で290万本のサケが釜石で揚がりましたが、昨年は145万本、今年は130万本程度に落ち着くとされています。近年不漁が続いている大きな要因として、震災によってサケのふ化場が被災し、サケの稚魚の放流数が減ったことが挙げられます。岩手で放流されたサケの稚魚は北に向かい、アラスカやベーリング海を回遊して帰ってきます。
岩手県では2015年からサケの漁獲量が大きく減少していますが、これはサケが回帰するまでに大体3〜5年の年数を必要とするからであり、ふ化場被災の影響がこの2〜3年で顕著に現れ始めています。平野会長は児童に現状を分かりやすく説明しながら「ぜひ家に帰ってお父さんお母さんとサケの話をしてみてください。」と伝え、親子で地元の魚を考えるきっかけにしてほしいとお話していました。
平野会長の話を聞く児童の皆さん
次に平野さんが新巻鮭の作り方を実演した後、児童のみなさんで新巻鮭づくりを行いました。
新巻鮭を作るには、
1. 腹を割く
2. 内臓やエラを取り除く
3. 水洗い(血合いをきれいに取り除く)
4. 塩をすり込む → 塩蔵(重しをして1週間程度)
5. 塩抜き
6. 乾燥
という作業をする必要があります。今回児童のみなさんには魚援隊スタッフのアドバイスで、1から4までを体験していただきました。
児童の中には魚の加工や、そもそも魚が苦手だという子もいるのではないかと懸念していましたが、実際の作業ではとても真剣に向き合いみんな興味を持ってやっているように見受けられました。
えらの切り方を教わる児童
全員が1本目を作り終えたところで平野さんが「2本目を作りたい人はいますか?」と呼びかけると、なんと全員が手をあげ、2回目の新巻鮭つくりに挑戦しました。
参加した児童たちからは
「簡単にできると思っていたが、意外に難しかった」
「大変だったので仕事として毎日やることはすごいと思った」
といった感想が寄せられました。普段目にする魚が、人の手によって丁寧に加工をされて私たちの食卓に並ぶ有りがたみを実感した様子でした。
さばいたサケに塩をすり込む生徒
今回作られた新巻き鮭は塩蔵・塩抜きがされた後、乾燥させて生徒の皆さんにお配りされました。自分たちで作った新巻き鮭を食べながら、家族で魚について話す機会が生まれると嬉しいですね。
全員で記念撮影
1週間後、塩蔵した新巻鮭を取り出して一晩塩抜きをしました。
塩抜き中の新巻鮭
その後に屋外で数日寒風にさらして完成です。完成した新巻鮭は釜石小学校に納入しました。
完成間近の新巻鮭
想像してみてください。ランドセルを背負った小学生が新巻鮭をぶらさげて下校する風景が釜石にはあります。嬉しくなりますね。
豊かな海がすぐそばにある証です。いつまでも続いてほしい光景です。
魚援隊は、今後も様々なイベントを通じて「さかなのまち」の盛り上げに貢献していきます。どうぞよろしくお願いいたします!
○今回ご協力いただいた皆様
(有)リアス海藻店様 岩手県水産技術センター様 岩手大学釜石キャンパス様
[gyoentai]