釜石港 コンテナ定期航路5周年、公共ふ頭でセレモニー〜さらなる利用拡大へ決意新た
くす玉を割り、釜石港コンテナ定期航路5周年を祝う関係者
釜石港と京浜地区の国際コンテナ港を結ぶ定期航路=写真=が開設から5周年を迎え、釜石港の公共ふ頭で1日、記念のセレモニーが行われた。コンテナ船は、東日本大震災からの復興はもとより、地域経済の発展を支える重要な物流ツール。釜石港のコンテナ取扱量は震災後、年々増加を続け、2015年は県内主要港の最高記録を更新した。同港には来年度、荷役能力の高い大型のガントリークレーンを県が整備することも決まっており、関係者はさらなる港湾利用の拡大へ決意を新たにした。
セレモニーは、釜石市、釜石港港湾振興協議会(会長・野田武則釜石市長)が主催した。コンテナ船を運航する井本商運(神戸市)の井本隆之社長ら関係者約60人が出席。野田市長が井本商運などに感謝状を贈り、関係者がくす玉を割って定期航路開設5周年を祝った。
野田市長は「釜石港のドラスチックな変化はすべて、5年前のコンテナ定期航路開設から始まった」と感謝。井本商運と連携してコンテナ船を運航する香港の大手海運会社オリエント・オーバーシーズ・コンテナライン・リミテッド(OOCL)日本支社の藤江成宏代表は「初めて釜石港の惨状を見たときは言葉がなかった。何が何でも、ここに荷物を入れると決意して5年。これからも釜石市民になったつもりで、港の発展を祈念しつつ頑張りたい」とあいさつ。井本商運の井本社長は「今後も釜石港の発展に貢献したい」と決意を述べた。
釜石港へのコンテナ船寄港は、震災前は不定期に行われていた。被災した同港を支援しようとOOCL社がコンテナヤードに指定。井本商運が連携し、11年7月から京浜港との定期運航を始めた。
コンテナ取扱量は、12年1759TEU(20フィートコンテナ換算)、13年2036TEU、14年2631TEUと着実に増加。15年は震災がれきを船で運んだことも加わり、4420TEUと県内港の過去最高記録を更新した。16年は昨年以上の取扱量を目指す。
同港では現在、旋回するアームで荷物をつるジブクレーンが稼働しているが、1時間当たりに運べるコンテナは11~13個にとどまる。県が来年度の稼働を目指して整備を進める橋脚型のガントリークレーンになれば、荷役能力は約3倍にアップする見込み。
県は、冷蔵・冷凍コンテナ用のコンセント増設も進めている。野田市長は「ガントリークレーンの整備は大きな一歩。本県にはまだまだ荷物がある。荷物は岩手の港から―という道筋を付け、釜石港が先進的な役割を果たしていきたい」と意気込む。
(復興釜石新聞 2016年8月3日発行 第509号より)
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