120年前からのメッセージ〜明治三陸大津波写真展、釜石市郷土資料館
120年前の津波被害や人々の様子をとらえた写真が並ぶ
釜石市鈴子町の市郷土資料館(菊池清太館長)で、企画展「明治三陸大津波写真展―120年前からのメッセージ」が開かれている。陸に打ち上げられた大型船、全壊した家屋、広範囲に散らばる流木、ぼうぜんとする人々など、明治三陸大津波(1896年=明治29)が発生した後の釜石市内を鮮明にとらえた写真を展示。当時の津波被害の大きさを克明に伝える写真は、東日本大震災の被災状況と重なる。6月19日まで。
写真は、東京都在住の古写真収集家、石黒敬章さんが保存。石黒さんの父親が、明治時代を代表する写真師・中島待乳(なかじま・まつち/1850-1915)の遺品として入手したアルバムの中にあった。石黒さんから提供された48点のうち、120年前の惨状をとらえた27点を同資料館入り口と津波資料コーナーの一角に展示。デジタル・フォト・フレームでも紹介する。
関連展示として、「大海嘯(かいしょう)極惨状之図」2点、「三陸東海岸大海嘯被害図」1点、旧釜石鉱山事務所所蔵の風俗画報(大海嘯被害録)1冊、両石・唐丹・石応禅寺の津波記念碑の写真3点と解説パネルも。周辺には今回の震災の記録や資料も並んでいる。
菊池館長は「いつ、どこで、どんな形で災害が発生するか誰にも予想つかないが、沿岸部に住む者として、津波に関する危機意識を常に持つことは誰も避けて通れない。そのことが家を守る、家族を守ることになる。親から子へ、子から孫へ受け継いでほしい」と企画展開催への思いを話した。
開館時間は午前9時半から午後4時半まで。火曜休館。
(復興釜石新聞 2016年5月21日発行 第488号より)
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