ふるさと支援へ同期生結束、ひと・まち・こころ釜南44展〜郷土愛、展示作品に色濃く
多彩な作品を鑑賞しながら交流を深めた「釜南44展」の展示会場
同期生の郷土愛で釜石を元気に――。釜石南高の1969(昭和44)年卒業生でつくる「ふるさと復興支援グループ釜南44」は7、8の両日、作品展示と音楽によるイベント「ひと・まち・こころ釜南44展」を釜石市大町の青葉ビルで開いた。心の復興を後押ししようと仙台、八戸、東京など各地と岩手県内在住の同期生約25人が集い、趣味で取り組む絵画や写真、リメークした布作品などを展示した。煙突が並ぶ釜石製鉄所や橋上市場といった釜石を象徴する懐かしい風景写真もあり、来場者と出品者が当時に思いをはせながら交流した。
中学、高校の6年間を釜石で過ごした仙台市在住の書家、支部蘭蹊さん(64)は釜南同期の音楽家山﨑眞行さん(釜石在住)のフルート演奏とコラボで書のパフォーマンスを披露。震災後、言葉の力を書に込め被災者を勇気づけてきた支部さんは、心に響く一節を味わいのある書体で書き上げた。
人生の糧になる言葉を書に託し、釜石市民らを励ました支部蘭蹊さん(左)
1クラス50人で、9クラスもあった高校時代。当時は話したこともなかった同期生とも釜南44の活動で心を通わせる仲になったという。支部さんは「60代以降は自由な時間を使い、また違った生き方ができる年代。われわれが培ってきた技術や感覚は復興まちづくりにも大きな力になるだろう」とさらなる貢献に意欲を見せた。
盛岡市在住の多田康子さん(65)は、地元「湯沢さんさの会」の仲間と湯沢地区伝統のさんさ踊りでイベントのオープニングを飾った。多田さんは大槌町出身。震災直後は歯科衛生士として被災地支援に奔走した。「何かお役に立ちたいと、自分たちができる形を探り実現させた同期たちのエネルギーに頭が下がる。みんなで地元愛を持ち続け、まちの元気につなげていけたら」と願った。
釜南44は、二十数年前から交流が続く仙台市在住の同期生を中心に2011年に結成。震災から8カ月後にウクライナの歌姫ナターシャ・グジーのコンサートを仙台で開き、収益の一部を釜石で行われる食のイベントに寄付した。3回目となった昨年2月のコンサートには釜石虎舞も出演している。
釜石でのイベントは今回初めての試みで、グループの白田正行代表(65)=仙台市=は「外に出た人間は釜石を思う気持ちが強い。今後は釜北、釜工、釜商を含め全国に散らばる釜石の高校同期生のネットワークをつなぎ、より良い形にできれば。50歳を過ぎると昔に帰っていくというか、そういう(地元への)強い気持ちを釜石のために役立てるような仕組みを作っていきたい」と、新たな展開に期待した。
(復興釜石新聞 2015年11月11日発行 第435号より)
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