FWパワープレーで息吹き返す〜釜石逆転勝利も苦い開幕戦 ラグビートップイーストリーグ
ラグビー地域リーグ、トップイーストリーグの釜石シーウェイブス(SW)RFCは12日、地元釜石市球技場で迎えた開幕戦でヤクルトと対戦、35―25で逆転勝ちした。昨季はあと1勝まで迫った悲願のトップリーグ(TL)昇格へ向け、まずは白星発進となったものの、前半は14―18とリードを許す苦しいスタート。釜石の昇格を後押ししようとスタンドを埋めた約1200人の地元ファンをヒヤリとさせた。
釜石シーウェイブス 35(勝ち点5) ヤクルト 25(勝ち点0)
キックオフ 釜石
▽レフェリー 畑中大器(関東協会)
苦い開幕戦となった。勝利のノーサイドにも釜石の選手に笑顔はなく、三浦健博ヘッドコーチ(HC)は「やろうという目が感じられなかった。そういうチームではないはず」と厳しく指摘。選手の奮起を促した。
開幕初戦を意識した固さだろうか、序盤はボールが手に付かず、パスワークも乱れ、小さなミスを繰り返した。前半3分、PGで先制したものの、直後にキックチャージからトライを奪われる。14分にはターンオーバーを許し、2つ目のトライを喫した。21分にWTB小野航大がトライを決め、8―18からSO村田賢史の2PGで4点差まで追い上げて折り返した。
後半も先にトライを奪われたが、4分、小野の好タックルから盛り返す。ゴール前のモールを一気に押し込み、ナンバー8須田康夫主将が豪快にトライ。再び4点差まで迫った。これでFWが息を吹き返し、25分にはCTBマイケル・バー・トロケが逆転のダイビングトライ。終盤にもモールから1トライを加え、勝ち点5を手にした。
「チームは生もの、水もの。熟成はしてきたが、初戦の難しさもあり、我慢するゲームとなってしまった」と三浦HC。新戦力5人を先発に起用するなど思い切った布陣で臨んだが、胸に描いたゲームプランにはまらなかった。「シンプルに前に出ることが重要。ラックを繰り返し、空いたスペースを突きたい」と次戦へ向け課題を挙げた。
パワープレーの威力を自ら見せつけた須田主将も、「勝つには勝ったが、内容が良くなかった。油断したわけではないが、ゲームプラン通りできず、焦りも出た。自分たちで苦しくしてしまった」と猛省。「(セットプレーで)組めばいけると手応えもつかんだ。初戦で得た自信を次戦で生かしたい」と奮起を誓った。
前半21分、釜石WTB小野航大が左隅にトライを決め、8ー15とする=釜石市球技場
「トライしたいとは思っていたが、まさか、こんな形で取れるとは」。日大から加入したルーキー、トンガ出身のCTBマイケル・バー・トロケ(25)が逆転トライを決め、「初戦でチームに貢献できて良かった」と照れ臭そうに喜びをかみしめた。
後半25分、夢中でラックに入ると、目の前にボールがあったという。すかさず拾い、ゴールポスト下に豪快なダイビングトライ。苦しむチームに勝利を呼び込んだ。
父親は2004年まで釜石でプレーし、現在はニュージーランドで暮らすソロモナ・バー・トロケさん。息子が活躍する釜石に来月、やってくるそうで、「それまでにもっとラインブレークに磨きをかけたい」とトロケ。
後半25分、CTBトロケがゴールポスト下にトライを決め、ゴールも成功し、28—25と逆転する
スクラム、ラインアウト体験
釜石SWのサポーター有志が開幕戦に合わせ、初の観戦ガイドツアーを実施した。参加した男女はグラウンドでスクラムやラインアウトを体験、子どものように歓声を上げた。
初心者15人が参加。ラグビーのルールや観戦の心得などについて解説を受けたあとグラウンドへ。ラインアウトでSWの選手に持ち上げられた大槌町の市川高芳さん(65)は「もちろん初めて。最高の気分」と大喜び。
スクラムを組んでみた釜石市大只越町の山﨑可奈子さん(38)は「意外とガッチリ感があった。(ラインアウトは)めっちゃ、高かった」と楽しんだ。
フェースブックなどで参加を呼びかけたサポーター下村達志さんは「地元にもっとラグビーファンを増やしたい」と次のプランを練っている。
ラインアウト体験で釜石SWの選手に持ち上げられ、大喜びのサポーター
(復興釜石新聞 2015年9月16日発行 第419号より)
復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)
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