支え合い24時間リレーウオーク〜がん闘病の思い共有、踏み出す一歩 大きな力に
がんに負けない社会に思いを同じくし、一歩一歩歩みを進めるリレーウオークの参加者
がん征圧・患者支援チャリティー活動「リレー・フォー・ライフ(RFL)ジャパン2015さんりくかまいし」は12、13の両日、釜石市鈴子町のシープラザ遊で開かれた。同実行委、公益財団法人日本対がん協会が主催。「24時間、がんと闘っている」患者の思いを共有し、がんに立ち向かう勇気や生きる希望、地域社会全体での支え合いにつなげる24時間リレーウオークが行われた。
RFLイベントは本県沿岸部では初開催。3市2町(釜石、大船渡、陸前高田、住田、大槌)の有志による実行委が実現させた。開会式には野田武則釜石市長も駆け付け、「がんになっても豊かに人生を歩める環境づくりが大切。当市は、がん検診受診率が低い。予防啓発と併せ非常に意義ある大会」と激励した。
リレーウオークには、釜石、気仙地区、北上、八戸市などから15チームが参加。12日正午すぎのスタート時には、がん患者や経験者らが参加者の手つなぎアーチをくぐりながら歩き、今を生きていることへの祝福を受けた。続いて各チームが横断幕やのぼり旗を手に次々とスタートし、1周76メートルの24時間リレーが幕を開けた。
会場内では歌やダンス、郷土芸能のステージ、医師らによる緩和ケアの講演、患者のフリートークなどさまざまな企画が用意され、楽しみ学びながら翌13日正午まで交代で歩き続けた。夜間には参加者のメッセージを託したルミナリエ(灯籠)を点灯し、がんで亡くなった人たちをしのぶとともに闘病者の安らぎを祈った。リレー参加者らの協力金は同協会に寄付され、がん医療の発展、患者支援、検診の推進に役立てられる。
リレーやルミナリエで約70人が協力した社会福祉法人愛恵会の小山彩子さん(53)は「利用者さんや職員の中にもがんと闘っている人がいて、人ごとではない。闘病者には精神的な支えが一番大事。こもりがちな患者さんが一歩踏み出し、互いに話をすることは大きな力になる」とイベントに期待した。
RFLは1985年、1人のアメリカ人医師が24時間夜通しトラックを走り(歩き)続け、アメリカ対がん協会への寄付を募ったのが始まり。以来、全世界に活動の輪が広がり、日本では2006年のプレイベント(茨城県つくば市)後、全国各地で開催されるようになった。今年は国内47会場で実施。本県では4年目を迎える一関市に次ぎ、釜石市が2番目の開催地となった。
実行委事務局統括の及川陽次さん(52)=釜石市=は「釜石にはがん患者の会やがんサロンが無い。家族らを含めた交流の場は絶対必要。このイベントが機運盛り上げになれば」と願う。
日本対がん協会RFLジャパン統括マネジャーの岡本宏之さん(52)は「RFLは患者や医師、製薬会社社員などさまざまな立場の人が集い、互いの声を聞ける。もっと多くの人に知ってほしいし、仲間をつくり生きる力を感じてほしい」と話した。
(復興釜石新聞 2015年9月16日発行 第419号より)
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