「土・花・糸」で絆深める、彩り豊かに同級生三人展〜大平中卒の海老原さん、黒澤さん、石井さん
作品展を開いた石井美智子さん、海老原正人さん、黒澤寿子さん(左から)
釜石市立大平中の1971(昭和46)年度卒業生、海老原正人さん(64)、黒澤(旧姓・大久保)寿子さん(63)、石井(旧姓・水戸)美智子さん(64)による同級生三人展「土・花・糸」が10月31日、11月1日の両日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。海老原さんの陶芸、黒澤さんの生け花、石井さんのレース作品が会場となったギャラリーを華やかに彩り、来場者に心潤うひとときを届けた。
同展開催のきっかけは4年前の還暦祝いの集まりで3人が顔を合わせたこと。その後、釜石在住の石井さんは編み物の研修会で盛岡市に出向いた際、生け花展をやっていた盛岡在住の黒澤さんと偶然にも再会。石井さんから黒澤さん、海老原さん(釜石在住)へアプローチがあり、本企画が実現した。展示会は当初、今年4月に予定していたが、新型コロナの影響で断念。約半年遅れで開催にこぎつけた。
上平田ニュータウンで「孤松窯」を開く海老原さんは皿や茶碗、小鉢、花器など約40点を公開。上薬の調合と窯の微妙な温度調整で雪の結晶のような美しい模様が浮き出た平皿など、プロの技術が光る作品の数々が注目を集めた。三人展という初の試みに「異業種(分野)とのコラボはお客さまからも好評。作品の魅力もアップする」と手応えを実感。
故郷に陶房を構えて34年。市内で陶芸教室の講師も務めており、会場を訪れた生徒らは「先生の作品を見るのは勉強になる」と熱心に鑑賞していた。
草月流生け花に親しむ黒澤さんは約10点を展示。コロナ下で花材集めに苦労しながらも何とか確保し、海老原さんの陶器も利用して豊かな感性を発揮した。驚きは、黒の塗料で炭のような風合いにした流木を組み合わせ、花器にした独創性あふれる作品。「(花材の)赤や黄、緑とのコントラストが素敵」と来場者から感嘆の声が上がった。
新鮮な感動を与えた陶芸、生け花、レース作品のコラボ展
黒澤さんの母は、釜石草月会の会長を長年務めた大久保カツ子さん(93)。震災の津波で松原町の自宅が全壊し、現在は盛岡市内の老人ホームに暮らす。黒澤さんが地元釜石で初めて作品を見てもらう機会を得て「幸せだな」と共に喜んでくれたという。「(海老原さんの)ぐい飲みなども使い、普段できない生け方ができた。会場には母の知り合いも多く来てくださり、釜石弁が耳に心地良い」と黒澤さん。
甲子町で「ニッティングルーム石井」を主宰する石井さんはレース編み作品15点を並べ、技法や用具を紹介するコーナーも設けた。指導歴30年以上。石井さんのもとには県内各地から生徒が集まる。今年はコロナのため1カ月ほど教室休止を余儀なくされたが、「家で夢中になれるもの(編み物)があって良かった」と生徒らは前向きだったという。
「レースというと、かぎ針しか知らない人も多いが、実はさまざまな技法がある」とPR。併せて「釜石出身者、地元在住者の活動、作品を知ってもらう機会になれば」と願った。
会場には2日間で約150人が来場。海老原さんは「同級生のつながりが心強い。機会があれば、またやってみたい」と話した。
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