実りの秋を満喫、浜千鳥「酒造り体験塾」


2020/10/13
復興釜石新聞アーカイブ

田んぼの稲刈りを終え、大きく成長したバケツ稲と記念撮影

田んぼの稲刈りを終え、大きく成長したバケツ稲と記念撮影

 

 釜石市小川町の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)は9月27日、大槌町の契約農家の田んぼで酒米の稲刈り体験会を開いた。同社の人気企画「酒造り体験塾」の第2弾。子どもから大人まで約70人が参加し、収穫の喜びを味わいながら作業に精を出した。刈り取った米「吟ぎんが」は、同社の商品「ゆめほなみ」や「純米大吟醸」の原料となる。

 

 同社に酒米を提供する佐々木重吾さん(63)の田んぼが体験会場。たくさん実を付け、穂が垂れた稲を鎌で刈り取り、わらで束ねて、はせ掛けした。前々日の大雨の影響で田んぼはぬかるみ、シカが入り込んで倒された株もあったが、力を合わせて予定していた3㌃の刈り取りを終えた。

 

 体験塾では例年5月に田植えも行うが、今年は新型コロナウイルス感染防止の観点から企画を変更。バケツに苗を植えて自宅で育ててもらう初の試みを行った。稲刈りの日には成長した稲を持ち寄り、一緒に刈り取った。

 

 小佐野町の小国賢太君(小佐野小5年)は父親と毎年、田植えや稲刈り体験会に参加。今年は初挑戦の〝バケツ稲〟の成長を楽しみ、「けっこう大きくなってびっくりした。家では稲穂にネットをかけて実を守った。これがお酒になったらうれしい」と満足そう。父太一さん(42)は「(息子には)食べる米のありがたみも感じてもらえれば。こういう過程を踏んで飲む〝浜千鳥〟は格別。まだ行けてない仕込み体験にも参加してみたい」と声を弾ませた。

 

 佐々木さんが会長を務める大槌酒米研究会(9人)は今年、同社に提供する吟ぎんがを約20ヘクタール作付け。「7月に長雨による日照不足はあったものの、6月の好天と8月の天候回復で、作柄は平年より良い」とのこと。収量は全体で、昨年を上回る約80トンを見込む。

 

 今年は収穫した米の等級検査や精米期間を考慮し、酒蔵に早く届くよう植え付けを早めたが、「雨が多く稲刈りの段取りがうまく進まない。作業は10月中旬ぐらいまでかかりそう」と佐々木さん。

 

 今年の体験塾はコロナ対策で参加者を県内在住者に限定。稲刈りは3密回避のため、団体参加のボーイスカウトの子どもら約40人が時間をずらして体験した。

 

 新里社長は「バケツ稲は個性豊か。成長過程を見ることで新たな発見もあったのでは。酒造りに興味を持つ人がさらに増えれば」と期待した。

復興釜石新聞

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