接戦 熱戦 ビブリオバトル〜5人でチャンピオン大会、おすすめポイント アピール


2020/09/07
復興釜石新聞アーカイブ #文化・教育

ビブリオバトル

初のチャンピオン大会となったビブリオバトル。約30人が楽しんだ

 

 釜石市大町の桑畑書店(桑畑眞一社長)が2018年から開催し、人気を集める「ビブリオバトル(知的書評合戦)」が22日、市民ホールTETTOで開かれた。5回目の今回は、過去4回で、紹介した本が〝チャンプ本〟に選ばれた5人を集め、チャンピオン大会として開催。今回もそれぞれ一押しの本を持ち寄り、お薦めポイントを熱弁した。チャンプ本を決める観客の投票結果はまれに見る接戦となり、大いに盛り上がった。

 

 ビブリオバトルは2007年に京都大の大学院生が考案。誰でも気軽に楽しめる書評合戦で、読書愛好者だけではなく、本に親しむことがなかった人も読書に目を向ける一つのきっかけになっている。

 

 発表者は1人5分の持ち時間で1冊の本を紹介。手に取ったきっかけ、要旨、読んで面白かった部分や心に響いた一節などを語り、終了後2分間、観客からの質問にも応えた。5人のプレゼン後、観客は読みたくなった本一冊に投票。その場で開票結果が発表された。

 

 チャンプ本に選ばれたのは、海老原祐治さん(釜石支援センター「望」代表)が紹介した「本能寺の変~431年目の真実」。明智光秀の末裔(まつえい)明智憲三郎氏が執筆した歴史本で、海老原さんによると「よく調べて書いている本。われわれが知る定説を見直し検証しているが、本能寺の変の真相に迫る部分は非常に説得力があり面白い。前後に起きる不可解な出来事のからくりも興味深い」という。

 

 海老原さんと1票差だった渡部真さん(フリーライター、編集者)が紹介したのは「ヤクザときどきピアノ」。アウトローを中心に取材し記事を書いている鈴木智彦氏が、あるきっかけでピアノ教室に通うようになり、発表会で弾くまでになる、自身を題材にした体験記。渡部さんは「鈴木さんがいかに優秀なライターであるかを誰もが実感できる本。時に漫画の比喩を用い、緊張感や臨場感あふれる文章は秀逸。本に出てくる曲を聞きたくなるような音楽本としての魅力もある」と薦めた。

 

 観客として足を運んだ大町の60代女性は「やっぱり本を読むのって楽しい。震災以降、遠ざかっていたが、また読んでみたい。ビブリオバトルは、全く違うジャンルのものに触れることができる」と有意義な時間を喜んだ。

 

 この催しはこれまで同書店内で行ってきたが、新型コロナ対策の3密回避のため、初めて市民ホールで開催。市が後援し、市立図書館の職員3人が運営サポートで協力した。「次回は図書館を会場に」という案も出ている。

 

 同館の高橋悦子館長は「ビブリオバトルは本を読みたい気持ちにさせてくれる(絶好のツール)。図書館のスタッフも興味を持っている。桑畑さんと連携し、ぜひ館内開催も実現できれば」と前向きな姿勢を示した。

 

 今大会の他の出演者と紹介した本は次の通り。
 ▽石黒めぐみさん「部長、その恋愛はセクハラです!」▽窪田優一さん「日本の品種はすごい~うまい植物をめぐる物語▽土橋詩歩さん「聖の青春」

復興釜石新聞

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