沈みがちな地域に元気を、感謝のハーモニー〜釜石高音楽部、宮古高とコラボ 絆深める
釜石高、、宮古高の部員が心をひとつに歌い上げた「願い〜震災を乗り越えて〜」=アンコールで
釜石高音楽部(菊池風花部長、9人)の第6回定期演奏会は7月26日、釜石市民ホールTETTOで開かれた。新型コロナウイルス感染拡大でコンクールなど各種発表の場が失われてきた同部にとって、本年度初の演奏会。部員らの思いが込められたステージは、コロナ禍で気持ちが沈みがちな地域住民に明日への元気をもたらした。
4部構成のステージ。1部は2、3年生7人が無伴奏女声合唱曲集「なみだうた」より4曲を披露。昨年度のアンサンブルコンテスト県大会で歌い、銀賞を受賞した曲で、アカペラの美しい響きで観客を魅了した。
2部は古くから歌い継がれる日本のわらべうたや唱歌。初舞台となった1年生男子2人を加え、「通りゃんせ」「ふるさと」など5曲を大人のアレンジで聞かせた。
休憩後の後半は、友情出演した宮古高音楽部(7人)のステージから。震災後、被災地を勇気づけてきた「花は咲く」「糸」を歌い、沿岸住民の心の絆を深めた。
3部は釜石高の部員がお気に入りの1曲をグループに分かれ歌唱。「勇気100%」「待つわ」などを振り付きで披露したほか、河内萌々子さん(2年)のソロを交えた英語の楽曲も届けた。
4部はディズニーセレクション。「Let It Go~ありのままで~」「アンダー・ザ・シー」など人気の映画曲をそろえ、歌の前には物語の一場面を演じて楽しませた。
3部合唱の豊かなハーモニー、工夫を凝らしたステージに約150人の観客から惜しみない拍手が送られた。アンコールでは2校の部員が「願い~震災を乗り越えて~」を手話付きで歌い、感動のフィナーレを迎えた。
宮古高の1年生部員の母大澤美智子さん(48)は、初めて聞く釜石高の演奏に「男声が入ると幅が広がるというか、すごく素敵でした。エネルギッシュなパフォーマンスもいいですね。子どもたちの頑張りは親にも力をくれる」と喜びを表した。
釜石高の菊池部長は本年度唯一の3年生部員。「課外とかで練習に行けないことも多かったが、2年生が率先して動いてくれた。こうして演奏会ができて感謝しかない」と思い出のステージを締めくくった。
全日本合唱コンクールが中止となるも、落ち込む気持ちを奮い立たせ、定演を成功させた同部。アルトパートに加わった伊藤雄基君(1年)は「歌には人を喜ばせたり、気持ちを回復させたりする力がある。今日は自分も先輩たちの歌声に感動し、涙が出そうになった。音楽ってすごい」と実感を込めた。
(復興釜石新聞 2020年8月1日発行 第897号より)
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