移住促進へ 釜石をPR、人口減に歯止めを〜コーディネーターに4人委嘱、3人が市外から定住


2020/02/14
復興釜石新聞アーカイブ #地域

移住コーディネーターに委嘱された(左から)伊藤さん、城守さん、手塚さん、石黒さん

移住コーディネーターに委嘱された(左から)伊藤さん、城守さん、手塚さん、石黒さん

 

 釜石市は6日、まちの魅力発信や移住希望者への情報提供などを行う移住コーディネーターに4人を委嘱した。副業というのが特徴で、会社員や学生、地域づくり活動に取り組む人らが個々の仕事、活動の中で市への移住・定住をPR。釜石への関心、理解を深めてもらい移住を促し、将来に向けて持続可能なまちづくりにつなげる。市では「それぞれの視点で、幅広い活動が可能となる、多様性のある制度」と期待を寄せる。

 

 人口減対策を加速させるため、行政と民間が協働で行う新たな取り組み。コーディネーターは、▽インターネットでの情報発信▽県内外の移住関連イベントでのPR▽移住検討者らの相談・助言―などの活動を進める。

 

 国が進める、移住や関係人口の創出・拡大に取り組む拠点の設置、強化を受けて設けた制度。特別交付税措置を活用し、月額2万円(月1回の活動報告が必要)の報酬を支払う。

 

 昨年12月に公募し、応募した4人全員を採用した。任期は1年だが、初年度となる今期は3月末まで。この制度は来年度も継続する予定だ。

 

 4人のうち、3人が実際に市外から移住。手塚さや香さん(40)は埼玉県さいたま市出身で、現在は釜石リージョナルコーディネーター協議会(釜援隊)でまちづくりの手助けをしている。2014年10月に岩手へのUターン者2人と任意団体「岩手移住計画」を立ち上げ、移住定住の促進や移住者の交流を柱にした活動を展開。県から受託し実施した移住体験ツアーでは27人の移住に結び付けた。

 

 ただ、移住者のほとんどが県内陸部で、沿岸部では陸前高田市の2人。交通の便を課題の一つに挙げたが、「デメリットを上回る地域の魅力を発信していき、釜石に1人でも多くUIターンしてもらう取り組みにしたい」と意気込む。

 

 花巻市出身の城守理佳子さん(26)は東京の人材派遣会社勤務を経て、18年9月から甲子町のパソナ東北創生に勤める。首都圏企業を対象にした研修ツーリズムや大学生のインターンコーディネート、地域企業への人材マッチングなどを担当。仕事するうえで大事にする「チャレンジするまち釜石」のアピールを継続させ、「チャレンジする仲間を増やしていきたい」と力を込める。

 

 今回の取り組みには大学生も参加する。岩手大農学部水産システム学コースで学ぶ3年の石黒智大さん(21)は秋田県秋田市出身。昨年10月から同大釜石キャンパスでドンコ(エゾイソアイナメ)を研究している。「よそ者、素人の視点で口出し、活動を後押しできると思う。『魚のまち』を象徴する魚種づくりに向け、自分の研究もしっかり進めたい」と意欲満々。内陸部で沿岸部の情報に触れる機会は少なく、「アピールの仕方を考えるべき」と指摘した。

 

 釜石出身の伊藤聡さん(40)は、一般社団法人三陸ひとつなぎ自然学校の代表理事。12年4月に同法人を設立し、ボランティアの受け入れ、支援者と地域をつなぐイベント開催のコーディネートなどを手掛けている。移住促進を目的にしていないが、これまで活動で関わった20人ほどが釜石周辺に移住。現在、力を入れる高校生の地域活動支援を継続し、「Uターンにつながる関係づくり、情報発信を進めたい」とした。

 

 委嘱状の交付は市役所で行われ、野田武則市長は「震災からの復興完遂を目指す中でハード面は完成しても、人口が減少しては意味がなくなる。歯止めをかけるための取り組みが必要。それぞれの立場で可能な限り頑張ってほしい」と激励した。

 

 今年度の活動として、9日に東京で開かれる学生対象の「かまいし就職準備フェア」に参加。釜石で働く、暮らす魅力をアピールする予定だ。

 

(復興釜石新聞 2020年2月8日発行 第865号より)

 

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