笑顔広がる公園に、釜石高定時制生徒遊具修復〜クライミングウォールをリニューアル、人のつながり 豊かな自然表現

復興釜石新聞2020/02/07

作業を分担して遊具のリニューアルに取り組む釜石高定時制の生徒たち

作業を分担して遊具のリニューアルに取り組む釜石高定時制の生徒たち

 

 釜石市甲子町洞泉のこすもす公園(藤井了代表)に、地元の高校生が考える「釜石らしさ」を表した遊具がお目見えした。大人気の「クライミングウオール」3基のうち、劣化した1基のリニューアル作業を、釜石高(鈴木広樹校長)定時制(生徒27人)が担当。市内外の幅広い世代に地域の魅力を発信し、公園内に笑顔の輪が広がることを期待している。

 

 今回リニューアルした遊具は幅3・6メートル、高さ2・7メートルで、作画テーマはずばり「釜石」。海や山を自然豊かに表現した絵、そこから飛び出してくるかのような迫力満点のサケが目に付く。ウニやホタテガイ、ワカメなども散りばめ、ラグビーボール、公園の名称にもあるコスモスをデザインに加えた。

 

 この遊具はもともと、東京のボランティアらが製作。劣化が進み、リニューアルの必要性を感じたメンバーの一人で、釜石市の団体「自然あそび広場にここ」の深澤鮎美代表(33)が定時制に製作を持ちかけた。

 

 定時制では2018年から、授業の一環として同公園でジャガイモの収穫や「甲子柿」を磨く作業といった農業体験学習を継続。そうした縁で、地域に目を向け関わる機会にもなることから遊具製作を引き受けた。

 

 「釜石らしさ」をテーマに生徒らが話し合い、千葉玲佳さん(2年)が原案を練り、岩間絵理奈さん(4年)のアイデアも取り入れて作画。昨年11月から1、4年生を中心に7回の色塗り作業を行ってきた。

 

完成したウオールの前で笑顔いっぱいの記念写真

完成したウオールの前で笑顔いっぱいの記念写真

 

 壁をよじ登るための突起(ホールド)は今年1月、深澤さんらメンバーの大人たちが設置。ただ、一部作業を残しており、27日、生徒20人が仕上げ作業に取り組んだ。

 

 2、3年生が、握りやすさや足の掛けやすさなどに配慮しながらホールドを取り付け。絵を描いていない部分に学校名を記し、壁の裏側には全員の名前を残してリニューアル作業を完了させた。

 

 自分たちの手で作り上げた壁に、早速挑む生徒たち。「難しい」「登れたー」と遊びを楽しむ歓声と笑顔があふれた。

 

 千葉さんは大槌町出身で、東日本大震災で被災し現在は甲子町で生活する。釜石のことを考える機会だったが、古里大槌を思う時間にもなった。「共通する自然の豊かさ、大漁旗をイメージした。思い通りの仕上がりに満足。豊かな自然に触れながら、どんどん遊んでほしい」と願った。

 

 大槌町から通学する岩間さんも震災で被災。遊び場が少なかった時期を振り返り、「子どもの笑顔が広がる場になれば、うれしい」とはにかむ。一緒に学ぶ仲間との共同作業を無事終えたことに達成感も。看護師を目指し、進学する予定で、「将来戻って地域に貢献したい」と力を込めた。

 

 深澤代表は「地域に愛される公園に生徒が関わったこと、形が残ることに意味がある。みんなで作り上げたことを忘れないでほしい。地域や人とのつながりの大切さを感じ、ここを離れたとしても思い出す、そんなきっかけになれば」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2020年2月1日発行 第863号より)

 

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